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技術情報

記事ID : 41610

Biotium(BTI)社 ioGlutamatergic ニューロン 培養プロトコル


【注意】 プロトコルは更新される場合がございますので、本情報は最新ではない可能性がございます。
実験の際には、必ず製品付属のプロトコルをご確認ください。

【目次】

  1. ioGlutamatergicニューロンの培養について
  2. 96または384ウェルプレートでのioGlutamatergicニューロンの培養について
  3. ioGlutamatergic ニューロンとアストロサイトの共培養プロトコル
  4. 試薬・調製方法について

1. ioGlutamatergicニューロンの培養について

【細胞播種の前に】

  • 各推奨試薬情報は、第4項に記載しております。実験前にご確認ください。
  • ioGlutamatergic ニューロンのバイアルには、0.75×106以上(小バイアルの場合)、1.5×106以上(大バイアルの場合)の生細胞が含まれます。Bit.bio社では、30,000 細胞/cm2 の播種密度を推奨しています。細胞を解凍前に、Geltrex コーティングを施した組織培養容器を準備してください。(第4項 4.4参照)
  • 37℃に加温したウォーターバスをご用意ください。
  • Basal Glutamatergic Neuron培地(以下b:GN)を37℃で温めてください。
  • 完全培地(comp:GN)に1µg/mLのDoxycycline(D)を加えた培地(以下comp:GN+D)を準備してください。

※培地の調製方法は第4項4.3をご参照ください。

1.1−細胞解凍手順

  1. ドライアイスから凍結バイアルを取り出し、穏やかに撹拌を行いながら、37℃のウォーターバスに浸す。
  2. バイアル内に小さな氷の粒が残っている状態で、ウォーターバスから凍結バイアルを取り出す。(約1分程度)
  3. 取り出した凍結バイアルに70%エタノールをスプレーし、クリーンベンチ内に入れる。
  4. 各バイアルの細胞を1mLのb:GN培地が入った15mLチューブに移す。
  5. チューブ1本につき、さらに3mLのb:GN培地を滴下するように添加する。
  6. 凍結バイアルを、1mlのb:GN培地で洗浄し、洗浄した培地を、4で細胞を回収したチューブに加える。
  7. 遠心(200×g、3分間、室温)
  8. 慎重に上清を吸引する。
  9. 細胞ペレットに3mLのcomp:GN+D培地を加え、1mLのマイクロピペットで穏やかにピペッティングして細胞を再懸濁させる。
  10. 細胞のカウント。(一般的に小バイアルで0.75x106以上、大バイアルで1.5x106以上の細胞数となります。)

1.2−細胞播種 (0日目)

  1. comp:GN+D培地を使用して、以下の表を参照し、必要な細胞濃度に希釈し、目的の実験条件(96および384ウェルプレートでの培養は第2項参照)に最適な播種密度に調製する。 (通常30,000cells/ cm2の播種密度が使用される。)
  2. Plate format Surface(cm2) mL/well Cells/well Cells/mL
    6 well 9.5 2.5 285,000 114,000
    12 well 3.8 1 114,000 114,000
    24 well 1.9 0.5 57,000 114,000
    48 well 0.95 0.25 28,500 114,000
  3. 培養容器から、Geltrexコーティング液を吸引する。
  4. 必要量の細胞懸濁液を直接、細胞培養容器に播種する。
  5. 細胞播種直後に培養容器を、37℃,5%CO2インキュベーターに移動する。
  6. 細胞が均一に分布するように、インキュベーター内でプレートを穏やかにクロスシェイクする。(前後、左右、2〜3回)

1.3−細胞の安定化(2〜4日目)と維持(4〜11日目)

  1. 2日目:細胞播種48時間後、事前に温めておいた、1μg/ mLのDoxycyclineを添加した、新しいcomp:GN培地に交換する。
    注意:ニューロン細胞は剥離を引き起こす可能性のある機械的ストレスを受けやすいため、ioGlutamatergicニューロンの培養は特別な注意を払って実行する必要があります。すべての培地の交換について、血清学ピペットの代わりにマイクロピペットを使用して、培地の吸引と添加をゆっくりとウェルの側面で行うことを推奨しています。
  2. 4日目:細胞播種後96時間後、事前に温めた新しいcomp:GN培地(Doxycyclineなし)に完全に交換する。
  3. 6日-11日目:細胞の維持のために48時間ごとに培地半分を交換することを推奨。培地の50%を新しいcomp:GN培地(Doxycyclineなし)に交換する。
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2. 96または384ウェルプレートでのioGlutamatergicニューロンの培養について

以下のプロトコルは、ioGlutamatergicニューロンを96または384ウェルプレートに培養するために最適化されています。 最適な細胞播種密度は、ユーザーが定義した特定の実験目的によって異なることにご注意ください。

  1. 培養容器をGeltrexで事前にコーティングする。(第4項 4.4参照)
  2. セクション1.1で説明されているプロトコルに従って細胞を解凍します。
  3. 細胞をカウント後、comp:GN+D培地を使用して細胞懸濁液の濃度を調製し、播種密度を調製する。
    以下の表を参照。
  4. Seeding density (cells/cm2) 384well (0.056cm2, 30 µL) 96well (0.32cm2, 100 µL)
    cells/well cells/mL cells/well cells/mL
    30,000 1,680 56,000 9,600 96,000
    40,000 2,240 74,666 12,800 128,000
    50,000 2,800 93 16,000 160,000

    推奨事項: 384ウェルあたり30μLまたは96ウェルあたり100μlの最終容量で30,000〜50,000細胞/ cm2の播種密度を推奨しています。
    注:必要な細胞懸濁液の総量を計算するときは、処理中の細胞損失に対応するために10%程度多く準備することを検討してください。

  5. プレートからGeltrexコーティング培地を吸引してください。
  6. 調製した播種細胞懸濁液を、マルチチャンネルピペット用のリザーバーに注ぐ。
  7. マルチチャネルピペットを使用して、384または96well plate に30µlまたは100µlずつ播種する。
  8. 細胞播種直後に培養容器を、37°C、5%CO2インキュベーターに移動する。
  9. 細胞播種48時間後、培養培地を1μg/ mLのDoxycyclineを添加し、事前に37℃に予熱した新しいcomp:GN培地に交換する。 細胞の剥離を避けるために、培地の交換中は穏やかに操作を行う。 (384ウェルあたり30µlおよび96ウェルあたり100µlの使用を推奨しています)。
  10. 細胞播種96時間後、事前に37℃に予熱した、同量の新しいcomp:GN培地(Doxycyclineなし)を追加して、培地をリフレッシュする。 たとえば、8で30µlを使用した場合は、最終培地量が60μlになるように30µlを追加する。
  11. 細胞の維持のために48時間ごとに培地半分を交換することを推奨。培地の50%を新しいcomp:GN培地(Doxycyclineなし)に交換する。
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3. ioGlutamatergic ニューロンとアストロサイトの共培養プロトコル

【細胞播種の前に】

  • 各推奨試薬情報は、第4項に記載しております。実験前にご確認ください。
  • 細胞を解凍前に、Geltrex コーティングを施した組織培養容器を準備してください。(第4項 4.4参照)
  • bit.bio社では、ioGlutamatergic Neuronsとアストロサイトを1:1の割合で共培養し、各細胞タイプの播種密度を30,000 cells/cm2(合計60,000 cells/cm2)とすることを推奨しています。
  • ウォーターバスを37℃に温めてください。
  • Basal Glutamatergic Neuron培地(以下b:GN)※を37℃で温めてください。
  • 完全培地(comp:GN)に1μg/mLのDoxycycline(D)を加えた培地(以下comp:GN+D)を準備してください。
    ※培地の調製方法は第4項4.3をご参照ください。
  • 本プロトコルと並行して、製造元/著者のプロトコルに従い、播種用のアストロサイトを準備する。可能でない場合は、まずアストロサイトを準備し、37℃、5%CO2インキュベーターで細胞懸濁液を時々振盪し保管してください。バイアルまたはチューブのキャップが完全に閉じていないことを確認してください。すぐに以下の3.1に進んでください。

3.1−ioGlutamatergic ニューロン解凍

  1. ドライアイスから凍結バイアルを取り出し、穏やかに撹拌を行いながら、直ちに37℃のウォーターバス(または同様のもの)に浸す。
  2. バイアル内に小さな氷の粒が残っている状態で、ウォーターバスから凍結バイアルを取り出す。(約1分程度)
  3. 取り出した凍結バイアルに70%エタノールをスプレーし、クリーンベンチ内に入れる。
  4. 各バイアルの細胞を1mLのb:GN培地が入った15mLチューブに移す。
  5. チューブ1本につき、さらに3mLのb:GN培地を滴下するように添加する。
  6. 凍結バイアルを、1mlのb:GN培地で洗浄し、洗浄した培地を、4で細胞を回収したチューブに加える。
  7. 遠心(200×g、3分間、室温)
  8. 慎重に上清を吸引する。
  9. 細胞ペレットに3mLのcomp:GN+D培地を加え、1mLのマイクロピペットで穏やかにピペッティングして細胞を再懸濁させる。
  10. 細胞のカウント。(一般的に小バイアルで0.75x106以上、大バイアルで1.5x106以上の細胞数となります。)

3.2−細胞播種(0日目)

  1. comp:GN+D培地を使用して、ioGlutamatergic ニューロンとアストロサイトを必要な細胞濃度に希釈し、最適な播種密度に調製する。 通常各細胞、30,000cells/ cm2の播種密度が使用されています。
  2. 両方の細胞懸濁液を1:1の均等な比率で混合し、細胞懸濁液を調製する。
  3. 培養容器から、Geltrexコーティング液を吸引する。
  4. 必要量の細胞懸濁液を直接、細胞培養容器に播種する。
  5. 細胞播種直後に培養容器を、37℃,5%CO2インキュベーターに移動する。
  6. 細胞が均一に分布するように、インキュベーター内でプレートを穏やかにクロスシェイクする。(前後、左右、2〜3回)

3.3−細胞の安定化(1〜4日目)と維持(4〜11日目)

  1. 1日目:細胞播種24時間後、事前に温めておいた、1μg/ mLのDoxycycline(以下comp:GN+D)を添加した、新しいcomp:GN培地に交換します。
    ※注意ニューロン細胞は剥離を引き起こす可能性のある機械的ストレスを受けやすいため、ioGlutamatergicニューロンの培養は特別な注意を払って実行する必要があります。すべての培地の交換について、血清学ピペットの代わりにマイクロピペットを使用して、培地の吸引と添加をゆっくりとウェルの側面で行うことを推奨しています。
  2. 2日目:細胞播種後48時間後、培養培地を事前に温めた新しいcomp:GN+D培地に完全に交換する。
  3. 4日目:細胞播種後96時間後、培養培地を事前に温めた新しいcomp:GN培地(Doxycyclineなし)に完全に交換する。
    注意:この段階では、アストロサイトの増殖を停止させるために、2µMのCytarabine(ara-C)の添加を推奨します。
  4. 6日-11日目:細胞の維持のために48時間ごとに培地半分を交換することを推奨。そのため、培地の50%を新しいcomp:GN培地(Doxycyclineなし)に交換する。

メモ)bit.bio社では、継代数0-2回の新生仔のSpraque Dawleyラット由来アストロサイトを使用して共培養を行っています。このアストロサイトは、培地中にFBSを必要としなく、comp:GN 培地で長期間培養できることを確認済みです。ラットのアストロサイトとグルタミン酸作動性ニューロンの共培養は、播種後100日間の生存を確認しており、最初の電気生理学活性は播種後8日前後(+/- 2日)です。ヒトiPSC由来のアストロサイトなど他由来のアストロサイトを使用する場合は、comp:GNに、推奨される成長因子を補充する必要がある場合がございますのでご注意ください。

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4. 試薬・調製方法について

4.1−推奨試薬類

試薬 メーカー 品番
Geltrex (Reduced GF) ThermoFisher A1413202
DMEM/F-12 ThermoFisher 11330032
Neurobasal ThermoFisher 21103049
B27 ThermoFisher 17504044
Glutamax ThermoFisher 35050061
2-Mercaptoethanol ThermoFisher 31350010
NT3 R&D 267-N3-025
BDNF R&D 248-BDB-005
Doxycycline Sigma D9891
Bovine Serum Albumin Sigma A7906
Cytarabine (ara-C) Sigma C1768

4.2−ストック液の準備

試薬 ストック液 ワーキング濃度
NT3 50µg/mL (5000X solution) 準備手順:500µLのPBS(0.1%BSA含有)に25µgを溶かす。 10ng/mL 準備手順:培地1mlあたり、0.2µLのストック液を加える。
BDNF 10µg/mL (2000X solution) 準備手順:500µLのPBS(0.1%BSA含有)に5µgを溶かす。 5ng/mL 準備手順:培地1mlあたり、0.5µLのストック液を加える。
Doxycycline(DOX) 2mg/mL (2000X solution) 準備手順:10mLのH2Oに20mgを溶かす。 1µg/mL 準備手順:培地1mlあたり、0.5µLのストック液を加える。
Cytarabine(ara-C) 20mM (10,000X solution) 準備手順:2mLの水に10mgを溶かす。 2µM 準備手順:培地1mlあたり、0.1µLのストック液を加える。

4.3−Glutamatergic ニューロン培地の準備について

● b:GN: Basal Glutamatergic Neuron 培地 調製方法
試薬/培地 200mLの場合 500mLの場合
Neurobasal 200mL 500mL
Glutamax (100X) 2mL 5mL
2-Mercaptoethanol (25μM) 100µL 250µL

注意:この培地は4℃で約3週間安定です。必要に応じて、抗生物質(ペニシリン/ストレプトマイシン)を加えることが可能です。

● comp:GN: Complete Glutamatergic Neuron 培地 調製方法
試薬/培地 50mLの場合 200mLの場合
b:GN 50mL 200mL
B27 1mL 4mL
NT3(終濃度:10ng/mL) 10µL 40µL
BDNF(終濃度:5ng/mL) 25µL 100µL

注意:本完全培地は、用事調製を行うことを推奨しております。完全培地調製後、4℃で4日以上保管した培地の使用は避けてください。

● comp:GN+D: Supplemented Complete Glutamatergic Neuron 培地 調製方法
試薬/培地 10mLの場合 50mLの場合
comp: GN 10mL 50mL
Doxycycline(終濃度:1µg/mL) 5µL 25µL

注意:本完全培地は、用事調製を行うことを推奨しております。完全培地調製後、4℃で4日以上保管した培地の使用は避けてください。

4.4−Geltrexコーティング液とコート容器の準備について

【Geltrexの準備】

  1. Geltrex ストック液を-80℃フリーザーから取り出し、4℃の冷蔵庫内で一晩、氷上で解凍する。翌日、凍結融解を最小限に抑えるために、予想される使用量に応じて分注する。 分注したGeltrexは、-80℃で保存する。注意:Geltrexは4℃を超える温度で急速に凝固するため、Geltrexを常に氷上に置いてください。
  2. 使用量のGeltrexを30分間氷上で解凍する。

【Geltrexコーティング手順】

  1. コーティングする総面積を計算する。
  2. GeltrexをDMEM/F12で1:100に希釈する。(Geltrex:100µL DMEM/F12:10mL)
  3. 2で作製したGeltrex:DMEMコーティング液を培養容器に加える。コーティング液の量は以下の表を参照してください。
  4. コーティング液 384well 96well 12well 6well T25 フラスコ 10cm ディッシュ
    Geltrex:DMEM 15µL 50µL 500µL 1mL 3mL 6mL
  5. コーティング液を加えた培養容器を60分間、37℃でインキュベートとする。その後、コーティング液吸引する前に、1時間に室温で静置する。余分なGeltrexを注意深く吸引し、すぐに細胞を播種する。
    注意:Geltrexコートプレートは、パラフィルムで包装し、4℃で1カ月間保管可能です。
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商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては
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