【注意】 プロトコルは更新される場合がございますので、本情報は最新ではない可能性がございます。
実験の際には、必ず製品付属のプロトコルをご確認ください。
技術情報
【細胞播種の前に】
- 各推奨試薬情報は、第4項に記載しております。実験前にご確認ください。
- ioGlutamatergic ニューロンのバイアルには、1×106以上(小バイアル)、5×106以上(大バイアル)の生細胞が含まれます。Bit.bio社では、30,000 細胞/cm2 の播種密度を推奨しています。細胞を解凍前に、PDL-Geltrex コーティングを施した組織培養容器を準備してください。(第4項 4.4参照)
- 37℃に加温したウォーターバスをご用意ください。
- Basal Glutamatergic Neuron培地(以下b:GN)※を37℃で温めてください。
- 完全培地(comp:GN)に1µg/mLのDoxycycline(D)※を加えた培地(以下comp:GN+D)を準備してください。
※培地の調製方法は第4項4.3をご参照ください。
1.1−細胞解凍手順
- ドライアイスから凍結バイアルを取り出し、穏やかに撹拌を行いながら、37℃のウォーターバスに浸す。
- バイアル内に小さな氷の粒が残っている状態で、ウォーターバスから凍結バイアルを取り出す。(約2分程度)
- 取り出した凍結バイアルに70%エタノールをスプレーし、クリーンベンチ内に入れる。
- 各バイアルの細胞を空の50mLチューブに移す。
- 1mLのb:GN培地を用いてバイアルを洗浄する。時々チューブを揺らして、培地を滴下するように添加する。
- チューブに4mLのb:GN培地を滴下するように添加する。
- 遠心(200×g、3分間、室温)
- 慎重に上清を吸引する。
- 細胞ペレットに3mLのcomp:GN+D培地を加え、1mLのマイクロピペットで穏やかにピペッティングして細胞を再懸濁させる。
1.2−細胞播種 (0日目)
- 細胞のカウント。(一般的に小バイアルで1.5×106以上、大バイアルで5×106以上以上の細胞数となります。)
- comp:GN+D培地を使用して、以下の表を参照し、必要な細胞濃度に希釈し、目的の実験条件(96および384ウェルプレートでの培養は第2項参照)に最適な播種密度に調製する。 (通常30,000cells/ cm2の播種密度が使用される。)
- 培養容器から、Geltrexコーティング液を吸引する。
- 必要量の細胞懸濁液を直接、細胞培養容器に播種する。
- 細胞播種直後に培養容器を、37℃,5%CO2インキュベーターに移動する。
- 細胞が均一に分布するように、インキュベーター内でプレートを穏やかにクロスシェイクする。(前後、左右、2〜3回)
Plate format | Surface(cm2) | mL/well | Cells/well | Cells/mL |
---|---|---|---|---|
6 well | 9.5 | 2.5 | 285,000 | 114,000 |
12 well | 3.8 | 1 | 114,000 | 114,000 |
24 well | 1.9 | 0.5 | 57,000 | 114,000 |
48 well | 0.95 | 0.25 | 28,500 | 114,000 |
1.3−細胞の安定化(2〜4日目)と維持(4日目以降)
- 2日目:解凍48時間後、培地の90%を静かに吸引し、10µMのDAPTを添加して事前に温めた新しいcomp:GN+D培地(comp:GN+D+DAPT)に交換する。
注意:ニューロン細胞は剥離を引き起こす可能性のある機械的ストレスを受けやすいため、ioGlutamatergicニューロンの培養は特別な注意を払って実行する必要があります。すべての培地の交換について、血清学ピペットの代わりにマイクロピペットを使用して、培地の吸引と添加をゆっくりとウェルの側面で行うことを推奨しています。 - 4日目:解凍96時間後、培地の90%を静かに吸引し、事前に温めた新しいcomp:GN培地(Doxycyclineなし)に交換する。
- 6日目以降:細胞の維持のために、48時間ごとに培地の50%を事前に温めた新しいcomp:GN培地(Doxycyclineなし)に交換する。
以下のプロトコルは、ioGlutamatergicニューロンを96または384ウェルプレートに培養するために最適化されています。 最適な細胞播種密度は、ユーザーが定義した特定の実験目的によって異なることにご注意ください。
- 培養容器をPDL-Geltrexでコーティングする(第4項 4.4参照)
- 第1項 1-細胞解凍手順に従って細胞を解凍する。
- 細胞をカウント後、comp:GN+D培地を使用して細胞懸濁液の濃度を調製し、播種密度を調製する。
以下の表を参照。 - プレートからGeltrexコーティング培地を吸引してください。
- 調製した播種細胞懸濁液を、マルチチャンネルピペット用のリザーバーに注ぐ。
- マルチチャネルピペットを使用して、384または96well plate に30µlまたは100µlずつ播種する。
- 細胞播種直後に培養容器を、37°C、5%CO2インキュベーターに移動する。
- 2日目:解凍48時間後、培地の90%を静かに吸引し、事前に温めた新しいcomp:GN+D+DAPT培地に交換する。
注意:ニューロン細胞は剥離を引き起こす可能性のある機械的ストレスを受けやすいため、ioGlutamatergicニューロンの培養は特別な注意を払って実行する必要があります。すべての培地の交換について、血清学ピペットの代わりにマイクロピペットを使用して、培地の吸引と添加をゆっくりとウェルの側面で行うことを推奨しています。 - 4日目:解凍96時間後、培地の90%を静かに吸引し、事前に温めた新しいcomp:GN培地(Doxycyclineなし)に交換する。
(384ウェルあたり60µLおよび96ウェルあたり200µLの使用を推奨しています) - 6日目以降:細胞の維持のために、48時間ごとに培地の50%を事前に温めた新しいcomp:GN培地(Doxycyclineなし)に交換する。
Seeding density (cells/cm2) | 384well (0.056cm2, 30 µL) | 96well (0.32cm2, 100 µL) | ||
---|---|---|---|---|
cells/well | cells/mL | cells/well | cells/mL | |
30,000 | 1,680 | 56,000 | 9,600 | 96,000 |
40,000 | 2,240 | 74,666 | 12,800 | 128,000 |
50,000 | 2,800 | 93 | 16,000 | 160,000 |
推奨事項: 384ウェルあたり30µLまたは96ウェルあたり100µlの最終容量で30,000〜50,000細胞/ cm2の播種密度を推奨しています。
注:必要な細胞懸濁液の総量を計算するときは、処理中の細胞損失に対応するために10%程度多く準備することを検討してください。
【細胞播種の前に】
- 各推奨試薬情報は、第4項に記載しております。実験前にご確認ください。
- bit.bio社では、ioGlutamatergic Neuronsとアストロサイトを1:1の割合で共培養し、各細胞タイプの播種密度を30,000 cells/cm2(合計60,000 cells/cm2)とすることを推奨しています。
- ウォーターバスを37℃に温めてください。
- Basal Glutamatergic Neuron培地(以下b:GN)※を37℃で温めてください。
- 完全培地(comp:GN)に1µg/mLのDoxycycline(D)を加えた培地(以下comp:GN+D)※を準備してください。
この培地は事前に作り置きしないでください。
※培地の調製方法は第4項4.3をご参照ください。 - 本プロトコルと並行して、製造元/著者のプロトコルに従い、播種用のアストロサイトを準備する。可能でない場合は、まずアストロサイトを準備し、37℃、5%CO2インキュベーターで細胞懸濁液を時々振盪し保管してください。バイアルまたはチューブのキャップが完全に閉じていないことを確認してください。すぐに以下の3.1に進んでください。
3.1−ioGlutamatergic ニューロン解凍と播種(0日目)
- PDL-Geltrex コーティングを施した組織培養容器を準備する。(第4項 4.4参照)
- 第1項 1-細胞解凍手順を参考に細胞を解凍する。
- comp:GN+D培地を使用してアストロサイトとioGlutamatergic Neuronsを必要な細胞濃度に希釈し、目的の実験条件に最適な播種密度に調製する 。(通常、各細胞とも30,000cells/ cm2の播種密度が使用される)
- 両方の細胞懸濁液を静かに混合し、1:1の混合細胞懸濁液を調製する。
- 培養容器から、Geltrexコーティング液を吸引する。
- 必要量の細胞懸濁液を直接、細胞培養容器に播種する。
- 細胞播種直後に培養容器を、37℃,5%CO2インキュベーターに移動する。
- 細胞が均一に分布するように、インキュベーター内でプレートを穏やかにクロスシェイクする。(前後、左右、2〜3回)
3.2−細胞の安定化(1〜4日目)と維持(4日目以降)
- 2日目:解凍48時間後、培地の90%を静かに吸引し、事前に温めた新しいcomp:GN+D+DAPT培地に交換する。
注意:ニューロン細胞は剥離を引き起こす可能性のある機械的ストレスを受けやすいため、ioGlutamatergicニューロンの培養は特別な注意を払って実行する必要があります。すべての培地の交換について、血清学ピペットの代わりにマイクロピペットを使用して、培地の吸引と添加をゆっくりとウェルの側面で行うことを推奨しています。 - 4日目:解凍96時間後、培地の90%を静かに吸引し、事前に温めた新しいcomp:GN培地(Doxycyclineなし)に交換する。 また、アストロサイトの過増殖を抑制するために、2µMのシタラビン(ara-C)の添加を推奨する。
- 6日目以降:細胞の維持のために、48時間ごとに培地の50%を事前に温めた新しいcomp:GN培地(Doxycyclineなし)に交換する。
メモ)bit.bio社では、継代数0-2回の新生仔のSpraque Dawleyラット由来アストロサイトを使用して共培養を行っています。このアストロサイトは、培地中にFBSを必要としなく、comp:GN 培地で長期間培養できることを確認済みです。ラットのアストロサイトとグルタミン酸作動性ニューロンの共培養は、播種後100日間の生存を確認しており、最初の電気生理学活性は播種後8日前後(+/- 2日)です。ヒトiPSC由来のアストロサイトなど他由来のアストロサイトを使用する場合は、comp:GNに、推奨される成長因子を補充する必要がある場合がございますのでご注意ください。
4.1−推奨試薬類
試薬 | メーカー | 品番 |
---|---|---|
Geltrex (Reduced GF) | ThermoFisher | A1413202 |
PDL-hydrobromide | Sigma | P6407 |
Borate buffer (20X) | ThermoFisher | 28341 |
Sterile water | Sigma | W3500 |
DMEM/F-12 | ThermoFisher | 11330032 |
Neurobasal | ThermoFisher | 21103049 |
B27 (50X) | ThermoFisher | 17504044 |
Glutamax | ThermoFisher | 35050061 |
2-Mercaptoethanol (50mM) | ThermoFisher | 31350010 |
NT3 | Biotechne R&D Systems | 267-N3-025 |
BDNF | Biotechne R&D Systems | 248-BDB-005 |
DAPT | Biotechne R&D Systems | 2634 |
Doxycycline | Sigma | D9891 |
Bovine Serum Albumin | Sigma | A7906 |
Cytarabine (ara-C) | Sigma | C1768 |
4.2−ストック液の準備
試薬 | ストック液 | ワーキング濃度 |
---|---|---|
NT3 | 50µg/mL (5000X solution) 準備手順:500µLのPBS(0.1%BSA含有)に25µgを溶かす。 | 10ng/mL 準備手順:培地1mlあたり、0.2µLのストック液を加える。 |
BDNF | 10µg/mL (2000X solution) 準備手順:500µLのPBS(0.1%BSA含有)に5µgを溶かす。 | 5ng/mL 準備手順:培地1mlあたり、0.5µLのストック液を加える。 |
DAPT | 20mM (2000X solution) 準備手順:1156µLのDMSOに10mgを溶かす。 | 10µM 準備手順:培地1mlあたり、0.5µLのストック液を加える。 |
Doxycycline(DOX) | 2mg/mL (2000X solution) 準備手順:10mLの滅菌水に20mgを溶かす。 | 1µg/mL 準備手順:培地1mlあたり、0.5µLのストック液を加える。 |
Cytarabine(ara-C) | 20mM (10,000X solution) 準備手順:2mLの滅菌水に10mgを溶かす。 | 2µM 準備手順:培地1mlあたり、0.1µLのストック液を加える。 |
4.3−Glutamatergic ニューロン培地の準備について
試薬/培地 | 200mLの場合 | 500mLの場合 |
---|---|---|
Neurobasal | 200mL | 500mL |
Glutamax (100X) | 2mL | 5mL |
2-Mercaptoethanol (25µM) | 100µL | 250µL |
注意:この培地は4℃で約3週間安定です。500mLの培地ボトルに正確に500mL入っているとは限りません。測定後にサプリメントを添加してください。
試薬/培地 | 50mLの場合 | 200mLの場合 |
---|---|---|
b:GN | 50mL | 200mL |
B27 | 1mL | 4mL |
NT3(終濃度:10ng/mL) | 10µL | 40µL |
BDNF(終濃度:5ng/mL) | 25µL | 100µL |
注意:本完全培地は、用事調製を行うことを推奨しております。完全培地調製後、4℃で4日以上保管した培地の使用は避けてください。
試薬/培地 | 10mLの場合 | 50mLの場合 |
---|---|---|
comp: GN | 10mL | 50mL |
Doxycycline(終濃度:1µg/mL) | 5µL | 25µL |
注意:本完全培地は、用事調製を行うことを推奨しております。
試薬/培地 | 10mLの場合 | 50mLの場合 |
---|---|---|
comp: GN | 10mL | 50mL |
Doxycycline(終濃度:1µg/mL) | 5µL | 25µL |
DAPT (終濃度:10µM) | 5µL | 25µL |
注意:本完全培地は、用事調製を行うことを推奨しております。
4.4−PDLコーティング液とコート容器の準備について
【PDLコーティング液の準備】
- ホウ酸緩衝液(20X)2.5mLを滅菌水47.5mLで希釈し、ホウ酸緩衝液(1X)50mLを調製する。
- 1で作成したホウ酸緩衝液(1X)50mLにPDL2.5mgを添加し、懸濁する。
注意:十分に混合してください。 - PLDコーティング液は凍結融解の繰り返しを避け、小分けに分注して20℃で保存する。
【PDLコーティング手順】
- コーティングする総面積を計算する。
- PDLコーティング液を培養容器に加える。コーティング液の量は以下の表を参照してください。
- コーティング液を加えた培養容器を37℃で一晩(最低3時間)インキュベートする。
- コーティング液を吸引し、クリーンベンチ内で蓋を外してコーティング面を完全に乾燥させる。(30〜60分)
- 以下のGeltrexコーティングの手順に従う。
コーティング液 | 384well | 96well | 24well | 12well | 6well |
---|---|---|---|---|---|
PDL | 15µL | 50µL | 400µL | 500µL | 1mL |
4.5−Geltrexコーティング液とコート容器の準備について
【Geltrexの準備】
- Geltrex ストック液を-80℃フリーザーから取り出し、4℃の冷蔵庫内で氷上に置いて一晩かけて解凍する。翌日、凍結融解を最小限に抑えるために使用量に応じて分注し、-80℃で保存する。
注意:Geltrexは4℃を超える温度で急速に凝固するため、Geltrexを常に氷上に置いてください。 - 使用量のGeltrexを30分間氷上で解凍する。
【Geltrexコーティング手順】
- コーティングする総面積を計算する。
- GeltrexをDMEM/F12で1:100に希釈する。(Geltrex:100µL DMEM/F12:10mL)
- 2で作製したGeltrex:DMEMコーティング液を培養容器に加える。コーティング液の量は以下の表を参照してください。
- コーティング液を加えた培養容器を60分間、37℃でインキュベートとする。その後、コーティング液吸引する前に、1時間に室温で静置する。余分なGeltrexを注意深く吸引し、すぐに細胞を播種する。
コーティング液 | 384well | 96well | 24well | 12well | 6well |
---|---|---|---|---|---|
Geltrex:DMEM/F-12 | 15µL | 50µL | 400µL | 500µL | 1mL |
商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては
使用しないように、十分ご注意ください。