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技術情報

記事ID : 47253

原理・用途・MHCモノマーとの違いを解説MHCテトラマーとは?


MHCテトラマーとは

Peptide-MHC Tetramerは、蛍光標識された4つのMHC分子からなる複合体であり、それぞれのMHC単量体が特定のペプチドと結合しています。Tetramer構造をとることで、4つのMHC単量体のうち最大3つが1つのT細胞に結合できるため、標的に対する全体的な結合力、すなわちアビディティが高まります。これにより、MHC Tetramerアッセイにおいて、抗原特異的T細胞を直接可視化し、定量することが可能になります。

Peptide-MHCクラスI Tetramerの構造
図1. Peptide-MHCクラスI Tetramerの構造

MHCテトラマーとモノマーの違い

Peptide-MHC Monomerは、TCRに対して弱い結合親和性を示します(図2 左)。一方、Peptide-MHC Tetramerは、複数のMHC単量体ユニットを介してTCRに結合することで、結合力を高めます(図2 右)。

Peptide-MHC MonomerとPeptide-MHC TetramerのTCRへの結合の違い
図2. Peptide-MHC MonomerとPeptide-MHC TetramerのTCRへの結合の違い。
画像はBioRender.comで作成。

MHCテトラマーの応用と進歩

T細胞応答を測定することは、新しいワクチンや治療法の作用機序を理解するうえで重要であり、また疾患の進行や回復過程を解析するうえでも欠かせません。免疫研究において、T細胞応答の解析に広く用いられているMHCクラスIおよびクラスII Tetramerは、さまざまな疾患研究やワクチン研究において重要なツールとなっています。

T細胞抗原受容体(TCR)は、抗原提示細胞上に提示されたペプチドを認識するうえで重要な役割を担っています。細胞傷害性T細胞(CTL)は、細胞表面のMHCクラスI分子を介して提示された抗原ペプチドを認識し、その標的細胞を傷害します。そのため、このような抗原特異的T細胞を検出することは、特にウイルス感染時やワクチン接種後の免疫応答を評価するうえで非常に重要です。

実際の応用では、PBMCや全血などのサンプルをMHC-ペプチドTetramerと混合し、フローサイトメトリーで解析することで、目的のペプチド抗原に特異的なCD4陽性またはCD8陽性T細胞を検出・分取することができます。この解析により、その抗原ペプチドの由来となる病原体に対して、特定の細胞性免疫応答が存在するか、またその強さがどの程度であるかを評価することができます。Tetramerの利用により、より幅広いHLA分子を解析対象に含めることが可能となり、機能解析との組み合わせも進んできました。

MHC Tetramerが開発されて以来、抗原特異的T細胞応答を定量する手法として広く利用されてきました。現在では、ビオチン標識されたpMHCをストレプトアビジン分子上に提示して四価複合体を形成する方法が一般的であることから、「Tetramer」という用語はこの技術を指す言葉として広く定着しています。さらに、ペプチドのMHC分子への結合を予測する手法と組み合わせることで、Tetramer解析はT細胞エピトープの同定に非常に有効です。特に、腫瘍抗原や自己抗原の研究において有用な手法です。

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