神経変性疾患研究用試薬 アミロイドβ経路関連抗体・アミロイドβタンパク質

Rockland immunochemicals社では、アミロイドβ経路関連抗体・アミロイドβタンパク質商品を多数取り揃えております。

Rockland社神経変性疾患関連試薬

• タウ経路関連抗体・タウタンパク質
• アミロイドβ経路関連抗体・アミロイドβタンパク質
• カタラーゼ抗体
• 認知症関連抗体

ミエリン機能不全に関連するアミロイドβの沈着

認知症の主な原因であるアルツハイマー病（AD）の有病率は、加齢とともに大幅に増加します。ADの特徴の1つは、アミロイドβ（Aβ）を含む細胞外プラークの形成と、タウからなる神経原線維変化（NFT）の蓄積です。しかしながら、脳の老化とAβ沈着との正確な関連性は依然として不明です。Deppらによる最近の論文（2023年）では、加齢に伴うミエリンの構造的欠陥が神経細胞におけるAβ沈着のリスク因子であるかどうかが検討されています。この研究では、研究者たちは、ミエリン変異マウスの白質の早期老化をモデルにしたミエリン機能不全が一連のイベントを引き起こすという実用的なモデルを提案しています。ミエリンの機能不全はミクログリアの活性化につながり、Aβ沈着物の除去を妨げ、プラークの形成を促進します。同時に、老化したミエリンは軸索を支える機能を失い、軸索の損傷を引き起こします。この損傷により、ニューロンの BACE1 (Beta-Site App-Cleaving Enzyme) と APP CTF (Amyloid Precursor Protein-derived C-Terminal Fragment) のレベルが上昇し、Aβ 生成が促進されることが示唆されています。
この研究では、ミエリン損傷の下流の結果としてプラーク促進因子、ミクログリアの活性化、軸索障害が相互に関連していることを強調しています。研究者たちは、これらの現象は密接に関連しているため、切り分けるのは難しいと強調しています。彼らは、特定のマウスモデルでミクログリアを枯渇させると軸索腫脹が緩和することを指摘しており、軸索障害とAPP代謝の変化がミクログリア活性化の下流にある可能性があることを示唆しています。興味深いことに、ミエリンの機能不全で観察されるアミロイド促進効果は、リポ多糖によって誘発される非特異的なミクログリアの活性化とは異なり、ミエリン欠損がミクログリアの活性化に対し独自の役割を果たしていることを示唆しています。
この研究結果の重要な臨床的意味合いは、ADと多発性硬化症（MS）の潜在的な関連性です。研究者たちは、実験と最近発表されたデータに基づいて、MSの併存疾患としてのADのリスク増加を示唆しています。しかし、データセットが限られているため、この併存疾患を調査するにはさらなる疫学的研究が必要です。 この研究結果は、ミエリンの劣化とADの進行との因果関係を立証し、既存のアミロイド仮説とADにおける神経炎症の役割に分子的エビデンスを提供するものでした。加齢によるミエリンの健全性の喪失をADの病状の上流起点として位置付けており、加齢がなぜこの疾患の主なリスク要因であるかを説明できる可能性があります。

図. 抗βアミロイド抗体を用いた免疫組織化学染色
アルツハイマー病患者の脳におけるアミロイドβプラーク染色を 10 倍と 20 倍で示している (BとC)。染色は、標準的なプロトコルを使用して Leica Bond システムにて実施された。

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