AnteoBind™は「担体表面の活性化」と「生体分子の固定化」の2ステップから構成されます。「担体表面の活性化」では、担体表面の官能基(カルボキシル基など)に対して、多価金属錯体であるAnteoBind™が複数の配位結合を形成します。続く「生体分子の固定化」では、生体分子側の配位性官能基(ヒスチジン残基のイミダゾール環など)がAnteoBind™と配位結合を形成することで、担体と生体分子の複合体が構築されます(Hisタグタンパク質の精製原理と同様)。
抗体を担体に固定化する際、代表的な架橋法:EDC/NHS法(共有結合)では抗体の各所に存在するリジン残基を標的とします。その結果、抗体が適切に機能する向き(配向性)がランダムになり、十分なシグナルを得るために大量の抗体を固定化する必要が生じる上、抗原結合部位が失活しやすい点が課題でした。一方AnteoBind™は、抗体のFc部位に多く含まれるヒスチジン残基などを主なターゲットとします。これにより、抗原結合部位の機能を保持した配向制御が可能となり、使用する抗体量を削減しながらも検出感度を大幅に向上させることができます。さらに従来の架橋剤に比べて取り扱いが容易な点も大きな特長です。

図1. AnteoBind™の固定化原理イメージ

図2:AnteoBind™で活性化させた金ナノ粒子表面のTEM画像
金ナノ粒子表面には約2nmのAnteoBind™が被覆され、次のステップである生体分子固定化の足掛かりとなります。

図3:AnteoBind™のプロトコール

図4:AnteoBind™活性化後の粒子の安定性
従来のEDC/NHS法では、担体の活性化後直ちに生体分子を固定化させる必要がありました。一方、AnteoBind™で活性化した磁性粒子(3μm)は、リアルタイム安定性試験により、物理的特性への影響(青)やタンパク質固定化能力(赤)を損なうことなく(いずれも粒子/複合体の表面電荷等により評価)、最大2年間にわたり活性を維持することが実証された。

図5:アレニウスの式に基づく、生体分子固定化後の安定性評価
AnteoBind™を用いたストレプトアビジン固定化磁性粒子(1μm)は、2点アレニウスの式に基づく加速試験(37°C)により、最大2年間の安定性が示された。点線は QC(品質管理)許容範囲を示す。
| 工程 |
ゼータ電位(d.nm) |
多分散度(PdI) |
ゼータ電位(mV) |
| 未修飾粒子 |
321.4 |
0.030 |
-41.2 |
| AnteoBind™ で活性化 |
351.3 |
0.030 |
+42.1 |
| 抗cTnl固定化粒子 |
372.5 |
0.025 |
-19.8 |
表1:生体分子固定化までの各工程におけるユーロピウム粒子の物理化学的特性
動的光散乱法を用い、生体分子を粒子へ固定化するまでの各工程におけるサイズと電荷の状態を追跡した。その結果、各層が段階的に形成されたことが示された。またゼータ電位の結果から、可逆的な電荷状態が確認され、各工程の状態を可視化することが可能でした。