ホスホイノシチド(PtdIns)は細胞膜の微量成分ですが、膜輸送、炎症、細胞死に至るさまざまな生物学的プロセスに関与する、細胞内の重要なシグナル伝達分子です。PtdInsは、イノシトール環の3,4,5位のヒドロキシ基がリン酸化を受けますが、リン酸化の受け方によって分子の細胞内での機能が変化することが知られています。ECL社では、これらのリン酸化パターンを識別して認識することができる、各種抗ホスホイノシチド抗体を販売しております。
また、リン酸化されたホスホイノシチドをすべて検出するポリ選択的ホスホイノシチドリン酸抗体(品番:Z-P999)もラインナップにございます。
イノシトールリン脂質の種類と機能
ホスフォイノシチド | 機能 |
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PtdIns | PI3キナーゼ、PI4キナーゼ、PI5キナーゼの基質 |
PI(3)P | エンドソーム融合や受容体の選別、多胞体への内部移行に関与 |
PI(4)P | スフィンゴミエリンとスフィンゴ糖脂質の代謝とゴルジ複合体の出口での膜輸送の調節に関与 |
PI(5)P | PI3キナーゼ、PI4キナーゼの基質 |
PI(3,4)P2 | AKT/PKB のpleckstrin homology(PH)ドメインに結合して細胞の生存をもたらし、Focal adhesion付近のポドソーム形成にも重要な役割を持つ |
PI(3,5)P2 | エンドソーム恒常性などの細胞機能に関与 |
PI(4,5)P2 | 多種の細胞機能において中心的な役割を果たす |
PI(3,4,5)P3 | 多数のシグナル伝達経路を活性化し、細胞の増殖、成長、生存、グルコース輸送およびタンパク質合成を誘導する |