Hyperphageは、ファージディスプレイにおけるパニング効率を改善するためのヘルパーファージです。ファージライブラリからリコンビナント抗体、リコンビナントタンパク質やペプチドを単離するための効果的なツールです。
ファージディスプレイ|パニング効率を改善するためのヘルパーファージ Hyperphage M13 K07ΔpIII (ハイパーファージ)
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背景
Rondotらによって開発された(Nature Biotechnology 19:75-81, 2001)ヘルパーファージ技術は、ファージ粒子あたりに提示される抗体の数を増加させる事で、ファージディスプレイにおける抗体の提示を改善し、遺伝子解析やプロテオミクスの分野において利点となります。ファージのパニングは少量の抗原で、かつ高い効率で行う事ができます。
Hyperphageは、pIII遺伝子に欠損を持ち、pIII(pIII欠損のファージゲノムをパッケージングするのに用いられる)を補完できるE.coli株(パッケージング株)を用いる事で作製されています。作製したHyperphageは、ゲノムのpIII遺伝子は欠損していますが、その表面にはpIIIを持っており、細菌への感染は可能です。このHyperphageとファージミドライブラリをパッケージング大腸菌に導入する事で作製したファージは、複数の抗体やペプチドをその表面に提示する事ができ、パニング効率を劇的に向上できます。
図1. Hyperphageシステム
特長
- パニング効率の向上(結果としてパニングに使用する抗原量が少なくても利用可能)
- 親和性の高い結合剤(抗体)と親和性の低い結合剤の同定
- 抗体ライブラリの場合、pIIIとscFv断片の間にプロテアーゼ切断部位を持つため、プロテアーゼ処理によりファージの溶出が可能
- Rondot S, Koch J, Breitling F and Dübel S: A helper phage to improve single-chain antibody presentation in phage display. Nature Biotechnology 19, 75-78, 2001
- Koch J and Dübel S: Generation of antibody libraries from human donors. In: Antibody engineering, (eds Kontermann R and Dübel S), Springer Verlag, Heidelberg/New York, 2001.
- Broders O, Breitling F, Dübel S: Hyperphage - Improving antibody presentation in phage display. Methods Mol Biol 205, 295-302 (2003)
- Soltes G, Hust M, Ng KKY, Bansal A, Field J, Stewart DIH, Dübel S, Cha S, Wiersma EJ: On the influence of vector design on antibody phage display. J Biotechnol 127, 626-637 (2007)
Protocols
- Hust M., Frenzel, A., Tomszak, F, Kügler, J & Dübel, S. (2014) Antibody Phage Display. In: Dübel, S. & Reichert, J.M. (eds.) Handbook of Therapeutic Antibodies, 2nd ed. Wiley-VCH, Weinheim, ISBN 978-3-527-32937-3 p. 43-76
- Hust, M., Frenzel, A., Schirmann, T. and Dübel, S. (2014) Selection of recombinant antibodies from antibody gene libraries. Methods Mol Biol. 1101, 305-320.2
- Hust, M., Frenzel, A., Meyer, T., Schirmann, T. and Dübel, S. (2012). Construction of human naive antibody gene libraries. In: Antibody Engineering: Methods and Protocols, Ed: Chames, P., Meth Mol Biol 907, 85-107
- Breitling, F., Broders, O., Helmsing, S., Hust, M & Dübel, S (2010) Improving phage display throughput by using Hyperphage, miniaturised titration and pVIII (g8p) ELISA. In: Antibody Engineering (2nd ed) Springer Protocols. Vol. 1, ISBN 978-3-642-01143-6, p. 197-206
- Broders, O., Breitling, F., and Dübel, S. (2003). Hyperphage - Improving Antibody Presentation in Phage Display. Methods Mol Biol 205, 295-302.
- Hyperphageシステムに関するその他の参考文献はこちら
Hyperphage
品名 | メーカー | 品番 | 包装 | 希望販売価格 |
---|---|---|---|---|
Hyperphage M13 K07ΔpIII | PGN | PRHYPEXS | 1*2 ML |
¥34,000 |
Hyperphage M13 K07ΔpIII | PGN | PRHYPE | 5*2 ML |
¥156,000 |
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品名 | メーカー | 品番 | 包装 | 希望販売価格 |
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¥159,000 |
IgG Library Primer Set, Mouse | PGN | F2010 | 2*25 PRIMER |
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品名 | メーカー | 品番 | 包装 | 希望販売価格 |
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pSEX81 Surface Expression Phagemid Vector | PGN | PR3005 | 5 UG |
¥85,000 |
【関連情報】
商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。
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