MHC Dextramer® 試薬は、液体中の細胞サンプルや組織サンプル中の抗原特異的T細胞を検出するために使用される蛍光標識したMHCマルチマーです。
Immudex社:高い特異性でTCRに結合し、抗原特異的T細胞集団を単離・検出" data-hatena-bookmark-layout="standard-balloon" data-hatena-bookmark-lang="ja" title="このエントリーをはてなブックマークに追加">![]() |
MHC Dextramer® 試薬は、液体中の細胞サンプルや組織サンプル中の抗原特異的T細胞を検出するために使用される蛍光標識したMHCマルチマーです。
MHC Dextramer®試薬は、すべての抗原特異的 CD4+ またはCD8+ T細胞をフローサイトメトリーにより効率的に検出できる優れたMHCマルチマーです。MHC Dextramerテクノロジーにより、他のテクノロジーでは識別できない非常に親和性の低い抗原特異的T細胞も検出できます。
MHC Dextramer®試薬は、最適化された数のMHC分子と蛍光色素を運ぶデキストランバックボーンで構成されています。 デキストランバックボーンは、付着したタンパク質のコンフォメーションを安定化させ、MHC Dextramer試薬自体も非常に安定化させます。
T細胞は、抗原提示細胞の表面上に提示される特異的MHC-ペプチド複合体を認識するT細胞受容体 (TCR) を保持しています。T細胞と MHC-ペプチド複合体との特異的相互作用は、MHC-ペプチド複合体に特異性を示すT細胞集団を検出・単離するために利用されてきました。しかし、個々のTCRは、MHC-ペプチド複合体に対して親和性が低く、モノマーMHC-ペプチド複合体を使った特異的T細胞を検出・単離することは困難でした。現在では、MHCマルチマーの導入により、この問題は解決されています。
MHCマルチマーは、複数のMHC-ペプチド複合体を保持する試薬で、1個のT細胞上に存在する複数の TCR に同時に結合する能力を持ち、試薬とT細胞間に非常に安定した相互作用をもたらします。多量体MHC試薬は、結合活性が増加した結果、さらに高い親和性で結合します。蛍光標識されたMHCマルチマーは、フローサイトメトリーにより液体試料(例えば、血液、培養細胞系、CSF、リンパ液、滑液)中の抗原特異的T細胞の検出・定量に使用され、免疫染色を利用した in situ 検出(例えば、固形がん)、抗原特異的T細胞集団の単離に使用されています。
図1 T細胞の抗原ペプチド認識
T細胞レセプター (TCR) は、特定のMHC分子で提示される抗原特異的なペプチドを認識する。
MHC Dextramer® は、最適化された数の MHC と蛍光色素分子を持つデキストランポリマー骨格から成り、従来の MHCマルチマーよりも多くの MHC分子、より多くの蛍光色素を保持しています。これにより、特異的T細胞に対する結合活性が増加され、染色強度も増強、また分解能やシグナル・ノイズ比も増加しています。この最適化されたDextramer 製品は、最小のバックグラウンド染色を保証いたします。そしてデキストランポリマー骨格は、結合タンパク質、MHC-ペプチド複合体、蛍光色素の立体構造を安定化させます。
MHC デキストラマーは、以下のアプリケーションに有用です。
ABC:マルチマー試薬に特異的な 細胞系1%を加え、他99%の ”ネガティブ” HPBMC細胞からなる細胞サンプルのフローサイトメトリー解析
細胞は、A) TCRに低アフィニティ、B) TCRに中程度のアフィニティ、C) TNRにアフィニティなし(ネガティブコントロール)のpMHC を持つテトラマーもしくはデキストラマで染色。
ゲート細胞:live singlets, CD3+, CD14- and CD19-
D) それぞれのMHC マルチマーで染色した際のT細胞系のシグナル強度
細胞カウントやマルチマーシグナルが各特異性を表している。記載されている KD値はSPRにより測定された単量体 pMHC-TCRの値。
フィコール精製したヒトHPBMC を各マルチマーで製造メーカー推奨プロトコールに従い染色した。
Gating strategy: CD4-, CD14- and CD3+.
MHCデキストラマー試薬が最も高解像度、低バックグランド染色であることが分かる。
HLA-A2 (restricted HY)由来のエピトープ(FIDSYICQV)特異的ヒトT 細胞クローンでは、THLA-A2(FIDSYICQV)/PE テトラマーより、HLA-A2(FIDSYICQV)/PE デキストラマーの方が明るい染色を示した。
(データ提供:David Lissauer, Karen Piper, Professor Mark Kilby and Professor Paul Moss, Birmingham University, Birmingham, UK)
高結合力と明るさにより、MHC デキストラマーは免疫組織染色を用いた固形組織中の抗原特異的T細胞のin situ 検出にも適しています。
メラノーマにおけるSurvivin 特異的細胞傷害性T 細胞の免疫組織染色
凍結切片は、乾燥/アセトン固定し、TRITC 標識anti-CD8 抗体とインキュベート後、FITC 標識HLA-A2(survivin) デキストラマーとインキュベートした。その後、DAPI で核染色した。A:核、B:CD8 ポジティブ細胞、C:抗原特異的T細胞をそれぞれ染色。 D:A〜C をマージ。
(データ提供:Professor J)
腫瘍特異的T 細胞はMHC ペプチド複合体に対して頻繁に低いアフィニティのT細胞レセプターを提示します。MHCデキストラマーは低アフィニティT細胞でも検出できる優れた試薬です、下記はMart-1特異的T細胞のデキストラマー染色例です。
テトラマーおよびデキストラマーによるMart-1 (A*0201 ELAGIGILTV) –特異的T細胞の検出
腫瘍-浸潤性リンパ球をMart-1マルチマー、抗CD3、抗CD4(dump)、抗CD8により染色したところ、デキストラマーのほうがテトラマーよりも中央値および解像度が3倍以上高い値を示した。
同一チューブ内で複数のMHCデキストラマーによる染色が可能です。多数のアレルおよび各アレルの多数のエピトープをカバーするデキストラマープールは一つのチューブで染色することができます。プールした8種類のデキストラマーの例が下記になります。プールあたりのデキストラマー数が増える可能性もあります。デキストラマー試薬15種類まで単一カラープールで特徴づけることができるでしょう。
ポジティブドナー由来HPBMCを、同種デキストラマー(単一デキストラマー)もしくは8種類のデキストラマー(同種デキストラマーと7種類のネガティブを示すデキストラマーから成る)で染色した。シングルそしてプールの染色結果より、両方とも0.4%のCD3+細胞を示すポジティブ集団が検出された。
プールあたりのデキストラマー数は標識が異なるデキストラマーの組み合わせにより増加する可能性があります。単一カラーでのデキストラマーのバックグランド染色は他の色で染色するデキストラマーには干渉しません。
フローサイトメトリーを用いた血液サンプル中のDRB1 * 0101 / EBV 特異的T細胞の検出。 DRB1 * 0101 / CLIP Dextramer を陰性対照として用いた。
IMX社では以下のヒト・マウス・サルのアレルを使用し、多種類のペプチド、蛍光標識 (FITC、APC、PE) を組み合わせてMHC Dextramer® 試薬を製造しています。
HLA-A*0101 | HLA-A*0201 | HLA-A*0211 | HLA-A*0301 | HLA-A*1101 |
HLA-A*2301 | HLA-A*2402 | HLA-A*2902 | HLA-A*6801 | HLA-B*0702 |
HLA-B*0801 | HLA-B*2705 | HLA-B*3501 | HLA-B*4201 | HLA-B*4403 |
HLA-B*5101 | HLA-B*5701 | HLA-B*5703 | HLA-B*8101 | HLA-C*0304 |
HLA-C*0602 | HLA-G*0101 |
H-2 Dd | H-2 Dk | H-2 Kb | H-2 Kd | H-2 Kk |
H-2 Ld | H-2 Db |
Mamu-A*01 | Mamu-A*08 | Mamu-B*17 |
アレル・ペプチド・蛍光物質の組み合わせは非常に多いため、下記メーカーシステムより検索いただくか、当社までお問い合わせください。
カタログ商品にはなかった場合、お客様ご指定の MHCデキストラマーを受託合成いたします。
カスタムオーダーのお見積りの際には「動物種」「アレル」「ペプチド」「標識」「包装サイズ」「ご利用代理店名・支店名」 の情報が必要になります。
お見積はページ下部のお問い合わせフォームよりご連絡ください。
現在ヒト アレルについて下記商品を販売しています。いずれの商品も蛍光標識 (BV421、APC、FITC、PE)、未標識のものを販売しています。
HLA-DRB1*0101 | HLA-DRB1*0401 | HLA-DRB1*1101 | HLA-DRB1*0301 | HLA-DRB1*0701 | HLA-DPB1*0401 |
品番 | アレル | ペプチド | 抗原 | 疾病/細菌 |
---|---|---|---|---|
FA10001※ | DRB1*0101 | PKYVKQNTLKLAT | HA | Influenza |
FA10002※ | DRB1*0101 | PVSKMRMATPLLMQA | CLIP | Endogenous Ag |
FA10003※ | DRB1*0101 | TSLYNLRRGTALA | EBNA1 | EBV |
FA10004※ | DRB1*0101 | PEQWMFQGAPPSQGT | EBNA3A | EBV |
FA10005※ | DRB1*0101 | QEIYMQHTYPISA | Tetanus Toxin | Tetanus |
FA10006※ | DRB1*0101 | LPLKMLNIPSINVH | pp65 | CMV |
FB10001※ | DRB1*0401 | PKYVKQNTLKLAT | HA | Influenza |
FB10002※ | DRB1*0401 | PVSKMRMATPLLMQA | CLIP | Endogenous Ag |
FB10012※ | DRB1*0401 | GAGSLQPLALEGSLQKRG | Proinsulin | Diabetes |
FB10013※ | DRB1*0401 | IAFTSEHSHFSLK | GAD65 | Diabetes |
FB10014※ | DRB1*0401 | NFIRMVISNPAAT | GAD65 | Diabetes |
FD10001※ | DRB1*1101 | PKYVKQNTLKLAT | HA | Influenza |
FD10002※ | DRB1*1101 | PVSKMRMATPLLMQA | CLIP | Endogenous Ag |
FD10020※ | DRB1*1101 | EHPTFTSQYRIQGKL | pp65 | CMV |
FH10002※ | DPB1*0401 | PVSKMRMATPLLMQA | CLIP | Endogenous Ag |
FH10035※ | DPB1*0401 | SLLMWITQCFLPVF | NY-ESO | Cancer |
FH10036※ | DPB1*0401 | TQHFVQENYLEY | MAGE-A3 | Cancer |
FH10037※ | DPB1*0401 | KKYFAATQFEPLA | Oxytocinase | Cancer |
※ 蛍光標識の場合は、品番後ろに-BV421、-APC、-FITC、-PE のいずれかが付きます。
商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。
※ 表示価格について
© COSMO BIO