Biotium社では、固定細胞・生細胞・死細胞に対応した蛍光核染色試薬を豊富に取り揃えています。洗浄不要のライブセル染色、固定細胞での高選択的な核染色、死細胞やアポトーシス細胞の識別、細胞周期解析やフローサイトメトリー用途まで、幅広い実験ニーズに応じた製品ラインアップで研究を支援します。
商品ラインアップ
- NucSpot® (固定細胞用)
緑色から近赤外まで、多彩な波長をカバーした鮮明で核特異的染色試薬。DAPIやHoechstの代替として。
- NucSpot® Live(生細胞用)
72時間観察可能な、低毒性のリアルタイムイメージング用の生細胞核染色試薬。
- 封入剤入りの核染色試薬
DAPIにも対応した高性能抗退色マウンティング剤入りの核染色試薬。
- RedDot™ 1 / RedDot™ 2
DRAQ5™およびDRAQ7™のユニークな代替品
- Live-or-Dye NucFix™ Red
固定可能な死細胞に選択的な核染色試薬
- 死細胞・アポトーシス解析用の核染色試薬
フローサイトメトリー用。死細胞やアポトーシス細胞を染色する色素。
- 細胞周期を解析するための核染色試薬
フローサイトメトリー用。細胞周期の各段階(G1、S、G2期)の解析に。
NucSpot® 核染色試薬(固定細胞用)
緑色から近赤外まで、多彩な波長をカバーした鮮明で核特異的な染色試薬です。
NucSpot®シリーズは、固定細胞の核を明るく特異的に染色します。これらの色素はDNAに結合するまでほぼ蛍光を示さず、洗浄操作が不要なため簡便に使用できます。一般的な核酸色素が核と細胞質の両方を染色するのに対し、NucSpot®は透過処理済み固定細胞の核だけを選択的に染色します。RNase処理は必要ありません。
また、NucSpot®シリーズは未固定の生細胞培養系において死細胞のみを選択的に染色するため、フローサイトメトリーや蛍光イメージングにも活用できます。いくつかの製品は細胞と共に数日間インキュベーションすることで長期間の連続イメージングにも対応します。特にNucSpot® 470およびNucSpot® Far-Redは、固定・透過処理済み細胞の細胞周期解析にも利用可能です。
NucSpot® シリーズの特長
- 明るく核特異的な染色(RNase処理不要)
- 緑色から近赤外の7色展開
- 生細胞培養系で死細胞のみを選択的に染色可能
- DNAに結合するまで最小限の蛍光(低バックグラウンド)
- 10分間のインキュベーションで洗浄不要
- 顕微鏡およびフローサイトメトリー対応、細胞周期解析に最適な製品もご用意
古典的な核染色試薬 DAPI・Hoechstは、光変換(photoconversion)という化学的現象や広い蛍光スペクトルによるクロストークが問題となり、解析の誤解を招く場合があります。
DAPIおよびHoechstは光変換や蛍光の干渉により、他チャネル(緑〜赤)への映り込みが発生するリスクがあります1 ,2。また、組織深部まで光が届きにくく信号が減衰するという課題も報告されています3。ぜひ、光安定性の高い、NucSpotをお試しください。
- Jež et al., Histochem. Cell Biol.(2013), 139: 195–204, DOI:10.1007/s00418-012-1039-8
- Karg and Golic, Chromosoma(2018), 127: 235–245, DOI:10.1007/s00412-017-0654-5
- Han et al., Nat. Commun.(2024), 15: 1648, DOI:10.1038/s41467-024-50411-z
NucSpot® Live 核染色試薬(生細胞用)
72時間観察可能な、低毒性のリアルタイムイメージング用の生細胞核染色試薬です。
NucSpot® Liveは、リアルタイムイメージングに最適な低毒性核染色試薬です。染色後の洗浄は不要で、72時間まで安定した核染色が可能です。NucSpot® Live 488(緑色蛍光)とNucSpot® Live 650(遠赤色蛍光)の2種類があり、NucSpot® Live 650は超解像顕微鏡(SIM・STED)にも対応しています。染色効率を高めるために、排出ポンプ阻害剤のverapamilがオプションとして同梱されており、必要に応じてご使用いただけます。
NucSpot® Liveの特長
- 洗浄不要の核特異的染色
- 低毒性で長時間の生細胞リアルタイムイメージングに対応
- 染色後の固定処理も可能
- 超解像顕微鏡(SIM・STED)にも対応(Live 650)
- 緑色または遠赤色蛍光から選択可能
封入剤入りの核染色試薬
DAPIにも対応した高性能抗退色マウンティング剤入りの核染色試薬です。
Biotium社のEverBrite™マウンティングメディアシリーズは、蛍光色素(特にCF®色素など)の退色を防ぐよう最適化された画期的な抗退色マウンティング剤です。EverBrite™は、ウェットセット(液状タイプ)とハードセット(硬化タイプ)があり、DAPI入り・DAPIなしの両方が用意されています。EverBrite™ Hardsetは、室温で24時間以内に完全に硬化し、恒久的な封着を形成します。また、NucSpot® 640(遠赤色カウンターステイン)入りのタイプも選択可能です。さらに、Drop-n-Stain EverBrite™は、DAPI入りのウェットセット型をドロッパーボトルで提供する製品で、マウンティング作業をより手軽に行えます。
EverBrite® マウンティングメディアの特長
- 蛍光退色を防ぐよう最適化された抗退色マウンティング剤
- ウェットセット型・ハードセット型を用意
- DAPI入りタイプ、NucSpot® 640入りタイプも選択可能
- 屈折率がカバーガラスや浸液オイルに近く、光学的に安定
- Drop-n-Stainは便利なドロッパーボトル入り
RedDot™ 1 / RedDot™ 2 核染色試薬
DRAQ5™およびDRAQ7™のユニークな代替品
RedDot™ 1
細胞膜透過性を持つ RedDot™ 1 は、生細胞の核を迅速かつ特異的に染色する色素で、Draq5™ に類似したスペクトルプロファイルを持ちます。RedDot™ 1 は、生体内の核染色やフローサイトメトリーによる細胞周期解析などにおいて有効性が確認されています。
※長時間のライブセルイメージングには、弊社の NucSpot® Live Stains の使用を推奨します。
RedDot™ 2
細胞膜非透過性のRedDot™ 2 は、Draq7™ に類似したスペクトルプロファイルを持ち、死細胞に対する優れた選択性を示します。NucView® 488 および RedDot™ 2 を組み合わせたアポトーシス・ネクローシス検出キットでは、RedDot™ 2 と NucView® 488 カスパーゼ-3 基質を併用することで、アポトーシスおよびネクローシス細胞の検出が可能です。
Draq7™ と異なり、RedDot™ 2は核に特異的に染色され、特別なブロッキング処理も必要ありません。また、RedDot™ 2 は CUBICなどの組織透明化プロトコルでの使用実績があります。
Live-or-Dye NucFix™ Red 死細胞の安定した核染色
固定可能な死細胞に選択的な核染色です
Live-or-Dye NucFix™ Red は、細胞膜を通過しないユニークな色素で、死細胞の核を染色します。一般的に使用されるプロピジウムヨウ化物(PI)や DRAQ7™ とは異なり、この色素は共有結合により標識されるため、固定後に他の細胞へ染料が移ることがありません。Live-or-Dye NucFix™ Red は、フローサイトメトリーおよび蛍光顕微鏡観察の両方に使用できます。
Live-or-Dye NucFix™ Red の特長
- 死細胞の核を特異的に染色
- 固定や透過処理に耐性あり
- PI など従来の染色と比較してはるかに安定
- 哺乳類細胞、酵母、グラム陰性菌において死細胞選択性を示す
- 蛍光顕微鏡およびフローサイトメトリーに適用可能
製品 | 励起/蛍光波長 | |
---|---|---|
Live-or-Dye NucFix™ Red Staining Kit, 50 assays | 520/593 nm | |
Live-or-Dye NucFix™ Red Staining Kit, 200 assays | 520/593 nm |
死細胞・アポトーシス解析用の核染色試薬
Oxazole Blue(PO-PRO™-1)、Oxazole Yellow(YO-PRO®-1)、および Thiazole Red(TO-PRO®-3) といったシアニン系の細胞膜非透過性核酸染色試薬は、死細胞選択的染色に適しており、フローサイトメトリーに利用できます。これらの色素は、死細胞やアポトーシス細胞の核に明るく高感度に染色されるのが特徴です。
また、これらの染色試薬は培養培地中に直接添加するだけで可能で、洗浄の必要がありません。青色から遠赤色までの様々な波長に対応しています。Biotium社では、これらと化学的に同等の死細胞選択的染色試薬を、高純度かつ低価格で提供しています。
製品名 | 同等品 | 励起/蛍光波長 | |
---|---|---|---|
Oxazole Blue, 1 mM in DMSO | PO-PRO™-1 | 434/457 nm | |
Oxazole Blue Homodimer, 1 mM in DMSO | POPO™-1 | 433/457 nm | |
Oxazole Yellow, 1 mM in DMSO | YO-PRO®-1 | 491/506 nm | |
Oxazole Yellow Homodimer, 1 mM in DMSO | YOYO®-1 | 491/508 nm | |
TO Iodide, 1 mM in DMSO | TO-PRO®-1 | 515/531 nm | |
Thiazole Orange Homodimer, 1 mM in DMSO | TOTO®-1 | 514/531 nm | |
Oxazole Red, 1 mM in DMSO | YO-PRO®-3 | 613/629 nm | |
Oxazole Red Homodimer, 1 mM in DMSO | YOYO®-3 | 612/631 nm | |
Thiazole Red, 1 mM in DMSO | TO-PRO®-3 | 642/657 nm | |
Thiazole Red Homodimer, 1 mM in DMSO | TOTO®-3 | 642/661 nm |
細胞周期を解析するための核染色試薬
核染色試薬は、フローサイトメトリーを用いた細胞周期の各段階(G1、S、G2期)の解析に広く使用されます。これらの色素はDNAに化学量論的に結合し、細胞内のDNA量に比例した蛍光シグナルを示すため、細胞周期プロファイリングに有用です。以下に挙げる染色試薬は、細胞周期解析への使用が検証されています。またBiotium社では、PIや7-AADなどの古典的な核染色試薬も提供しています。
製品名 | 染色対象 | RNase 処理 |
励起/蛍光波長 | 特長 | |
---|---|---|---|---|---|
NucSpot® 470 | 固定細胞 | 不要 | 460/546 | 生細胞の場合、死細胞に選択的。青色LED励起に最適。 | |
PI | 固定細胞 | 必要 | 530/622 | 488 nmで励起しPEチャネルで検出可能。 | |
7-AAD | 固定細胞 | 不要 | 546/647 | PE-Cy®5チャネル向けの遠赤色色素。 488 nmまたは532 nmレーザーで励起可能。 |
|
NucSpot® Far-Red | 固定細胞 | 不要 | 597/667 | 7-AADの改良版。PE-Cy®5またはAPCチャネルで検出。 | |
RedDot™1 | 生細胞 | 不要 | 662/694 | 短時間(4時間以内)の生細胞染色が可能。In Cell Western®での細胞数補正に有用。488〜647 nmで励起しCy®5 or APCチャネルで検出。 |
商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。
※ 表示価格について
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