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赤間 一仁 先生 島根大学大学院 自然科学研究科 生命科学コース |
大腸菌で不溶化した植物TSENサブユニットのPUREfrex® 2.0 miniによる可溶性発現
ユーザーレポート
Products
- PUREfrex® 2.0 mini(品番:PF201-0.1)
メーカー:ジーンフロンティア株式会社 メーカー略号:GFK
■ PUREfrex® 酵素的 無細胞タンパク質合成キット
タンパク質調製に細胞は必要ありません!!
PUREfrex® は、タンパク質合成に必要な因子のみを個別に精製し、アミノ酸や NTP 等と混合して再構築したタンパク質合成キットです。
はじめて無細胞系をお試しになる方に最適な、少量サイズの商品「PUREfrex® 2.0 mini」もご用意しています。
実験内容
タンパク質合成に重要な役割を担うtRNAの中にはイントロンをもつものがあり、スプライシングを経て成熟tRNAとなる。真核生物や古細菌では、tRNA Splicing Endonuclease(TSEN)と呼ばれる酵素複合体がイントロンの5′側と3′側のスプライス部位を正確に切断する。植物ではイントロンをもつtRNA遺伝子の種類は酵母やヒトに比べて少ない。我々は、生体内タンパク質相互作用解析やAlphaFoldなどを用いた構造予測から、植物TSENが典型的な真核生物型のヘテロ四量体(αβγδ)とは異なり、古細菌型に類似した(αβ)2構造を形成する可能性を報告している1)。このモデルを実験的に検証するためには、植物TSENを構成するタンパク質を可溶性の状態で調製し、イントロンを含む前駆体tRNAを基質として試験管内で機能解析を行う必要がある。
シロイヌナズナには、TSENの触媒サブユニットと推定されるSen1およびSen2と、構造サブユニットと推定されるSen54が存在する。当初、これらのタンパク質を大腸菌発現系で調製することを試みた。発現ベクター、宿主大腸菌、培養温度、振盪速度、誘導時間、誘導物質の濃度など種々の条件を検討したが、目的タンパク質は主として不溶性画分に回収された。そのため、植物TSENの試験管内機能解析は困難な状況にあった。
そこで、再構成型無細胞タンパク質合成系であるPUREfrex® 2.0 miniを用いて発現条件を検討した。T7プロモーターを含むSen1、Sen2およびSen54をコードする遺伝子のPCR産物を鋳型として使用し、10 µLの反応系でタンパク質を合成した。Sen54についてはC末端にHisタグを付加した(以下、His-Sen54)。
初期条件として37℃で5時間反応させたところ、Sen1およびSen2は主として不溶性画分に検出された(図1Aの矢頭、図1B)。一方、His-Sen54は主として可溶性画分に回収された(図1B)。そこで、Sen1およびSen2について反応温度および反応時間を検討した。その結果、25℃で15時間反応させることにより、Sen1およびSen2はいずれも可溶性画分に明瞭に検出され、37℃、5時間の条件と比較して可溶性画分への分配が改善した(図1C)。
この結果から、同じTSEN複合体を構成するサブユニットであっても、PUREfrex® 2.0 miniにおける可溶性はタンパク質ごとに異なることが分かった。また、初期条件では主として不溶性画分に回収されたSen1およびSen2についても、反応温度と反応時間を調整することで可溶性画分への回収を改善することができた。
PUREfrex® 2.0 miniは、本研究では特に以下の点で有用であった。
- PCR産物を鋳型として使用でき、10 µL程度の少量反応で発現条件を検討できる
- 大腸菌発現系では可溶性タンパク質を得ることが困難であったタンパク質についても、反応温度や反応時間を変えることで可溶性発現条件を探索できる
- 少量の反応系で条件を比較した後、得られた可溶性タンパク質を次の機能解析へ展開できる
現在、PUREfrex® 2.0 miniで調製した植物TSENサブユニットを用いて、イントロンを含む前駆体tRNAの試験管内切断実験を進めている2)。今回の結果は、PUREfrex® 2.0 miniが、大腸菌発現系で可溶性タンパク質の調製が困難な場合に、少量反応で発現条件を検討するための有用な選択肢となることを示している。

図1.PUREfrex® 2.0 miniを用いた植物TSENサブユニットの可溶性発現条件の検討
(A) Sen1、Sen2およびHis-Sen54を37℃で5時間合成し、反応液を全タンパク質 (Total)、可溶性画分 (Soluble)および不溶性画分 (Insoluble) に分け、SDS-PAGE後にCBB染色により解析した。1: DNA (-)、2: DHFR DNA、3: Sen1、4: Sen2、5: His-Sen54。矢頭はSen1およびSen2の目的バンドを示す。
(B) 可溶性と不溶性の各画分を段階希釈し、Western blottingにより解析した。Sen1およびSen2は主として不溶性画分に検出されたのに対し、His-Sen54は主として可溶性画分に検出された。
(C) Sen1およびSen2を25℃で15時間合成し、可溶性画分と不溶性画分に分離した。各画分を段階希釈してWestern blottingにより解析したところ、37℃で5時間の条件と比較して、両タンパク質の可溶性画分への分配が改善した。
- Moniruzzaman M, Englert M, Akama K. Proteins. doi: 10.1002/prot.70155. (2026)
- 赤間一仁他.第49回日本分子生物学会年会(横浜)発表予定. (2026)






















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