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技術情報

記事ID : 47252

抗原提示のしくみとMHCテトラマーがT細胞研究で重要な理由MHC(主要組織適合性複合体)とは?


主要組織適合性複合体(Major Histocompatibility Complex:MHC)は、T細胞にペプチド抗原を提示する役割を担う、高度に多型性を有する細胞表面タンパク質ファミリーです。

MHC分子は、分解された細胞内抗原由来のペプチドと細胞内で結合してペプチド-MHC複合体を形成し、それを細胞表面に提示することで、T細胞受容体(TCR)による認識を可能にし、免疫応答を誘導します。ペプチド-MHC複合体は免疫監視において中心的な役割を果たしており、腫瘍免疫療法における重要な標的となっています。

ヒトではMHCは HLA(Human Leukocyte Antigen)と呼ばれ、主にMHCクラスIとMHCクラスIIの2種類が存在します。MHCクラスIは主にCD8陽性T細胞に、MHCクラスIIは主にCD4陽性T細胞に抗原情報を伝える役割を持ちます。

MHC複合体とは何か、なぜ重要なのか

MHC複合体は、ペプチド、不変の軽鎖であるβ2-ミクログロブリン(B2M)、そして高度に多型性を示す重鎖(ヒトではHLA)から構成されます(図1)。これらの複合体は、多くの有核細胞の細胞表面に存在するMHC分子によって形成されます。

 MHC複合体の模式図
図1. MHC複合体の模式図

MHC複合体は、8~14アミノ酸残基程度の抗原ペプチドを細胞表面に提示します。これらのペプチドはT細胞に提示されるため、MHC複合体は獲得免疫において極めて重要な役割を担っています。

実際には、ペプチド抗原は、多くの場合、異常タンパク質に由来する短いペプチド断片であり、MHC分子のペプチド結合溝、またはペプチド結合クレフトと呼ばれる部位に安定化されます。この結合は、ペプチドのアミノ酸側鎖との相互作用によって規定され、MHCアレルごとに異なるペプチド結合の選択性に関与します。

MHCとT細胞受容体(TCR)の相互作用は、侵入病原体を検出する免疫監視の基盤であり、養子T細胞療法やTCR様抗体の探索など、がん免疫療法の開発においても重要な手がかりとなります。これらの治療法開発を進めるうえでは、生物活性を有し、生理的状態に近いMHC複合体を研究ツールとして用いることが重要です。これは特に、抗原提示や抗原プロセシングの過程を追跡し、それらが抗原特異性や下流の免疫応答評価にどのように影響するかを解析する場合に重要です。

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