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記事ID : 47254

MHCクラスIとクラスIIの違いと各クラスの役割について解説MHCクラスIとクラスIIとは?


ヒトの主要組織適合性複合体(Major Histocompatibility Complex:MHC)には、MHCクラスIおよびMHCクラスIIの2種類の分子が存在します。

MHCクラスI分子は、主に細胞内由来のペプチドをCD8陽性T細胞集団、特に細胞傷害性T細胞に提示し、感染細胞やがん細胞等の形質転換細胞の検出をサポートする役割を担います。

一方、MHCクラスII分子は、通常、細胞外タンパク質に由来するペプチドをCD4陽性ヘルパーT細胞に提示し、幅広い獲得免疫応答の調節をサポートします。

MHCクラスIとIIの違い

項目 MHC Class I MHC Class II
抗原 細胞内由来 細胞外由来
役割 抗原をCD8陽性 細胞傷害性T細胞に提示 抗原をCD4陽性 ヘルパーT細胞に提示
誘因される免疫応答 細胞傷害性T細胞による
感染細胞や形質転換細胞の監視・排除
ヘルパーT細胞を介した
獲得免疫応答の調節
発現細胞 ほぼ全ての有核細胞 抗原提示細胞(APCs)
例:樹状細胞、マクロファージ、B細胞
構造 膜貫通α鎖と
β2-ミクログロブリン(B2M)
膜貫通α鎖とβ鎖
ペプチド結合部位 α鎖のα1とα2でペプチド結合溝を形成 α鎖のα1とβ鎖のβ2で
ペプチド結合溝を形成
関連する病態 がん 免疫疾患・自己免疫疾患

MHCクラスI(MHC-I)

MHCクラスI分子は、ペプチド抗原をCD8陽性 細胞傷害性T細胞(CTL)に提示することで、免疫系において重要な役割を果たします。MHC-Iは、膜貫通型の重鎖、β2-ミクログロブリン(β2m)と呼ばれる軽鎖、および8~10アミノ酸程度のペプチド抗原からなる複合体です。重鎖には、2つのペプチド結合ドメイン(α1およびα2)、免疫グロブリン様ドメイン(α3)、膜貫通領域が含まれます。α1およびα2ドメインが折りたたまれることで溝状の構造が形成され、そこにペプチド抗原が結合します。β2mはペプチド結合溝を安定化し、MHC-Iによる抗原提示を支えています。

MHC-I分子はほぼ全ての有核細胞で発現しており、1細胞あたり約10^5多様なペプチドを同時に細胞表面に提示してCTLに認識させています。がんでは、ゲノム変異の蓄積により腫瘍特異的抗原やネオアンチゲンが産生されることがあります。これらの抗原は、腫瘍細胞のMHC-I分子によってCTLに提示されます。

 MHCクラスI複合体(MHC-I)の模式図
図1. MHCクラスI複合体(MHC-I)

MHCクラスII(MHC-II)

MHCクラスII分子は、免疫系の重要な構成要素であり、特に細胞外病原体に対する免疫応答の開始や調節において重要な役割を果たします。これらの分子は主に、樹状細胞、マクロファージ、B細胞などの抗原提示細胞(APC)の表面に発現しています。APCは、細胞外病原体に由来する抗原を取り込み、処理したうえで、CD4陽性ヘルパ-T細胞に提示します。MHCクラスII分子は、α鎖とβ鎖からなるヘテロ二量体であり、両鎖がペプチド結合溝の形成に関与しています。この溝に抗原ペプチドが結合します。

細菌などの細胞外病原体がAPCに取り込まれると、そのタンパク質はエンドソーム内で小さなペプチド断片に分解されます。これらの抗原ペプチドはMHCクラスII分子にロードされ、細胞表面へ輸送されます。その後、MHCクラスII−ペプチド複合体は、CD4陽性T細胞上のT細胞受容体(TCR)によって認識されます。これにより、T細胞の活性化とクローン増殖、B細胞による抗体産生、病原体の排除に向けた免疫応答の調節など、一連の免疫応答が誘導されます。

このように、MHCクラスII分子は自然免疫と獲得免疫をつなぐ重要な役割を担い、多様な微生物から生体を守るために働いています。一方で、免疫応答の形成に関与することから、いくつかの免疫疾患や自己免疫疾患にも関係しています。

 MHCクラスII複合体(MHC-II)
図2. MHCクラスII複合体(MHC-II)
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