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記事ID : 17892

Ludger社定量シアル酸解析


シアル酸解析の重要性

シアル酸は、糖鎖の非還元末端に見られる負に帯電した単糖です。糖タンパク質の安定性や立体配座に重要であり、多くの生物学的相互作用に関わっています。また、下記のような極めて重要な機能的影響があります。

  • IgG上の N-結合型糖鎖のシアル化が、抗炎症活性を増加させる。
  • O-アセチル化シアル酸は、リガンド相互作用を変化させ、分解に影響を及ぼす (Neu5,9Ac2 を含む O-アセチル化シアル酸が EPOで見られる)。
  • シアル酸の存在により、肝細胞上に位置するアシアロ糖タンパク質受容体による糖タンパク質の取り込みが防止され、血中での半減期が増加する。

多くの種類のシアル酸が自然界には存在しますが、バイオ医薬品中の N-結合型糖鎖および O-結合型糖鎖に見られる主要なシアル酸は、N-アセチル-ノイラミン酸 (Neu5Ac または NANA) および N-グリコリル-ノイラミン酸 (Neu5Gc または NAGA) の2種類になります。Neu5Gc はヒトでは合成できず、バイオ医薬品中の Neu5Gc が慢性炎症といった免疫反応を誘発します。投与されたヒト血清中では、抗Neu5Gc抗体が検出されており、中和することで薬物の有効性を低減させます。細胞株の選択はバイオ医薬品に存在するシアル酸の種類に大きく影響を及ぼすので注意が必要です(例えばマウスIgGのほとんどのシアル酸がNeu5Gcです)。

薬剤の安定性・有効性には、ロット間の一貫性のほか、製品ライフサイクルの全段階でのシアル酸レベルやタイプをモニターすることが不可欠になっています。そのためシアル酸解析は、生物製剤の特性評価のための ICH Q6Bガイドラインに規定された規制条件になっています。

 

Ludger社の製品を使用することで得られる情報

  • シアル酸 (Neu5Ac 及び Neu5Gc) の "nmol/mg タンパク質" 単位での定量
  • O-アセチル化 Neu5,9Ac2 の定量

 

Ludger社製品を使用したシアル酸定量法

シアル酸の遊離

シアル酸は糖タンパク質サンプルから緩和酸加水分解によって遊離されます。サンプル量は、通常 50 µg x3 (triplicate) 量を使用します (モノクローナル抗体のようなシアル化レベルが低いサンプルの場合は、さらに量が必要です)。このプロセスでは、以下のコントロールを置くことをお勧めしています。

  • ネガティブコントロールとして、水もしくはサンプルバッファー
  • ポジティブコントロールとして、Fetuin糖タンパク質 (品番GCP-FET-50U) および/または定量的糖ペプチド (品番BQ-GPEP-A2G2S2-10U)

サンプルおよびコントロールを、2M酢酸で 80℃、2時間インキュベートします。

DMB標識

遊離したシアル酸を感度よく検出するために、1,2-diamino-4,5-methylenedioxybenzene で蛍光標識します (図1)。シアル酸環が開裂すると、カルボン酸の隣にケトン基が露出し、DMB がこれら2つにまたがって結合します (単糖にはこの隣接するケトン基がないため蛍光標識されません)。酸加水分解したサンプル、コントロール、オプション品としてシアル酸標準品:Neu5Ac (品番CM-NEUAC-01)、Neu5Gc (品番CM-NEUGC-01)、シアル酸リファレンスパネル (品番CM-SRP-01)、Neu5,9Ac2 (品番CM-NEU5,9,AC2-01) を DMBと 50℃、3時間インキュベートします。

LC解析

Neu5Ac および Neu5Gc標準品を希釈し、これら2つのシアル酸定量用標準曲線を作成します。 シアル酸リファレンスパネル (品番CM-SRP-01) および Neu5,9Ac2 は、シアル酸の同定用に使用します。サンプルとコントロールは、LudgerSep-R1カラム (品番LS-R1-4.6x150、表1) 、もしくはランタイムが速い LudgerSep-uR2カラム (品番LS-UR2-2.1x100、表2) のどちらかを使って HPLC解析を行います。シアル酸リファレンスパネルの典型的なプロファイルは図1 (AおよびB) になります。

Time (min) Flow
(mL/min)
%A %B
0 0.5 100 0
19 0.5 100 0
19.5 0.5 10 90
23.5 0.5 10 90
24 0.5 100 0
30 0.5 100 0

表1. LudgerSep-R1 カラム (4.6 x 150 mm, 3 um particles、品番LS-R1-4.6x150) を用いた30分間のランニングメソッド
注入量 = 25µL、溶媒A=アセトニトリル:メタノール:水 9:7:84、溶媒B=アセトニトリル、蛍光検出(Ex373nm, Em448nm)、カラム温度=30℃、サンプル温度=10℃

Time (min) Flow
(mL/min)
%A %B
0 0.25 100 0
7 0.25 100 0
7.5 0.25 10 90
8 0.25 10 90
8.5 0.25 100 0
15 0.25 100 0

表2. LudgerSep-uR2 カラム (2.1 x 100 mm, 1.9 um particles、品番LS-UR2-2.1x100) を用いた15分間のランニングメソッド
注入量 = 5 µL、溶媒A=アセトニトリル:メタノール:水 9:7:84、溶媒B=アセトニトリル、蛍光検出(Ex373nm, Em448nm)、カラム温度=30℃、サンプル温度=10℃

LudgerSep-R1 HPLCカラム (A) もしくはLudgerSep-uR2 UHPLCカラム (B) でのDMB標識したシアル酸リファレンスパネル (品番CM-SRP-01) のクロマロトグラム
図1. LudgerSep-R1 HPLCカラム (A) もしくはLudgerSep-uR2 UHPLCカラム (B) でのDMB標識したシアル酸リファレンスパネル (品番CM-SRP-01) のクロマロトグラム Peaks: 1 = Neu5Gc、2 = Neu5Ac、3 = Neu5,7Ac2、4 = Neu5Gc,9Ac、5 = Neu5,8Ac2、6 = Neu5,9Ac2 、7 = Neu5,x,xAc3 (x : アセチル化されている位置が不明)、* = 試薬

結果

サンプル中のNeu5AcおよびNeu5Gcのピーク面積を標準曲線と比較し、シアル酸の定量的データを得ます。 図2は、マウスおよびヒトIgG から遊離されたシアル酸データを示しています。マウスIgGは高レベルの非ヒトシアル酸、Neu5Gcを含有しています。この場合、ヒトIgG はマウスIgG より4倍以上のシアル酸を含有しています。 図3は、EPO中のシアル酸データを示しています。Neu5Ac および Neu5Gc の絶対量は、標準曲線との比較により決定できます。また、EPOはNeu5,9Ac2 を含有します。水溶液中では、9位の酢酸エステルは8位への移動が可能で、Neu5,9Ac2 のための完全な定量標準を用いることは困難です。従って、シアル酸は、標準物質のリテンションタイムとの比較によって同定され、Neu5Ac、Neu5Gc および Neu5,9Ac2 の相対的な割合は、そのピーク面積から決定されます。

マウスおよびヒトIgG中の Neu5Ac 及び Nue5Gc の同定・定量
図2. マウスおよびヒトIgG中の Neu5Ac 及び Nue5Gc の同定・定量
LudgerSep-R1 HPLCカラムで解析した。

EPO中のシアル酸の同定・定量
図3. EPO中のシアル酸の同定・定量
LudgerSep-R1 HPLCカラムで解析した。

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