技術情報
アガロースと電気泳動について
記事ID : 15403
5. アガロースの調製の仕方
- 分散
:凝集させずにバッファー中で粒子を分離させます。
- 水和
:個々の粒子が溶液(水、バッファー)によって取り囲まれるようにします。溶解プロセスを簡単・効率よくするために、加熱前の水和時間を確保することをお勧めします。
- 融解/溶解
:固形粒子を液体の状態にします。
- アガロースのタイプが異なると、その振舞いも異なります
:アガロースの加熱や溶解について共通のプロトコルはありません。
- ポアサイズは濃度やアガロースの種類によって決まります
:適切なアガロースおよび濃度は、アプリケーションに応じて選択してください。
- 溶液の2〜4倍容量のビーカーを使うようにします。
- 凝集を回避するために、緩衝液に入れるスターラーバーは速い速度で回転させ、アガロース粉末はゆっくりと加えます。
- 良好な分散のためには、バッファー溶液は冷えている必要があります。バッファーが温かい場合、凝集しやすくなります。
- アガロース粉末は、加熱前の数分間、溶液中で水和させます。これにより溶解が速く簡単になり、泡立ちも低減します。
- (電信レンジの)マイクロ波出力の強さに応じ、時間と出力を調整します。
- 適切な保護具の着用:電子レンジにかけた溶液は、揺れなどによって高熱や泡を発生することがありますので注意が必要です。
- 過熱防止のために:電子レンジの出力を下げ、1分ごとにビーカーを取りだし、ゆっくりかつ慎重に撹拌します。その後は電子レンジに戻し、さらに1分程度加熱します。
- アガロース全体が溶解するために:アガロース全体が溶解するために煮沸は十分に行います。“フィッシュアイ”(魚の目、即ち溶解不完全なアガロース)がないかを確認します。逆に過度な沸騰はアガロースの加水分解を引き起こし、強度を低下させるので注意が必要です。
- 泡の発生の防止:60℃まで冷却し、ゲルカセットに慎重に注ぎます。
- 注いだ後、ゲルは徐々に冷却します。急速に冷却すると、ゲルの形成が不均一になり、ゆくゆくは電気泳動中のバンドのねじれをもたらす恐れがあります。
- 低融点アガロースの場合は、4-8℃でさらに30分間、あるいは一晩静置が全体的なゲル化の過程に必要となります。
- 低融点、低濃度ゲル:冷却バッファーで泳動することが大切です。高電圧にするとバッファーの加熱が過剰になり、ゲルの溶解を引き起こすことがあります。
- ゲル化過程に関しては、バッファー組成が決定的な要因となります。仮に水素結合形成を阻害するような試薬がバッファーに添加された場合、融解温度やゲル強度が下がることとなり、場合によってはゲル形成自体が阻害されることがあります。
- ゲルが出来上がったら、すぐにバッファーで浸漬してください。ゲルは冷蔵で数日間保存が可能です。
- アガロースゲルはダメージを伴わない再融解/再形成が数回までは可能です。そこで大容量のアガロースを準備し、そこから少量ずつを時折抜き取って使用するということが可能です。
商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては
使用しないように、十分ご注意ください。