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転写 CDKが実際に転写因子であるとき

TRANSCRIPTION:
When a CDK Is Really a Transcription Factor

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2005, Issue 266, pp. tw14, 11 January 2005.
[DOI: 10.1126/stke.2662005tw14]

要約 : サイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、サイクリンとの相互作用により制御されるキナーゼ活性の結果として、各種の機能を担うと考えられてきた。細胞周期の進行の仲介についていえば、このことは明らかに正しい。ところが、Yuらは、哺乳類Cdk1の相同体である酵母Cdc28がキナーゼ非依存的な機能を有するのではないかと提案している。炭素源の変化に応じてGAL1の発現を誘導することにより、著者らは、cks1変異体およびcdc28変異体の両方でGAL1の発現が減少していることを示した(Cks1は、Cdc28のサイクリン結合部位から離れた場所でCdc28と相互作用し、Cdc28のキナーゼ活性を制御しないと考えられているタンパク質である)。修飾したCdc28を化学的に阻害する、サイクリンの欠乏またはkinase-dead型のCdc28変異体の存在下でキナーゼ活性を阻害した条件の下で解析するなどの複数の手法を用いて、Cdc28のキナーゼ活性は、ガラクトースによるGAL1の活性化にとって必須でないことが明らかになった。クロマチン免疫沈降法を用いて、Cks1およびCdc28は、GAL1のプロモーターおよびオープンリーディングフレーム(ORF)に存在することが明らかになった。また、GAL1の転写を抑制するグルコース存在下では、Cks1およびCdc28はORFから特異的に消失していたが、GAL1遺伝子の上流では存在していた。Cks1またはCdc28がGAL1と結合するためには、両タンパク質の存在ならびに相互作用が必要であった。このCks1とCdc28の複合体は、プロテアソームをORFに会合させ、それにより転写伸長を促進するようであった。機能的なCks1またはCdc28を欠損する系統では、プロテアソームサブユニットRpt1のGAL1への会合は減少していた。以上より、CDKのCdc28は、キナーゼ活性に依存しない転写伸長において、直接的な役割を担っているようである。

V. P. C. C. Yu, C. Baskerville, B. Grunenfelder, S. I. Reed, A kinase-independent function of Cks1 and Cdk1 in regulation of transcription. Mol. Cell 17, 145-151 (2005). [PubMed]

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