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発生
タンパク質相互作用から複雑な生理学へ

Development
From Protein Interactions to Complex Physiology

Editor's Choice

Sci. STKE, 17 July 2007 Vol. 2007, Issue 395, p. tw248
[DOI: 10.1126/stke.3952007tw248]

L. Bryan Ray

Science, Science’s STKE, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : ドッキングタンパク質またはアダプタータンパク質は、進化の過程において複雑な細胞生物学的調節系が構築された構成要素を提供すると考えられる。Hardyらは、ホスホチロシン結合(PTB)ドメインとSrcホモロジー2(SH2)ドメイン(各ドメインは、リン酸化受容体やその他のタンパク質に結合できる)を持つドッキングタンパク質ShcAについて検討した。Shcタンパク質もリン酸化されてアダプタータンパク質Grb2(成長因子受容体結合タンパク質2)の結合部位として機能するチロシン残基を含有する。1つ以上のドメインが変化した変異タンパク質を発現するマウスにおいて、PTBドメインは心臓の発生に不可欠であったが、SH2ドメインとGrb2結合ドメインは必須ではなかった。一方、骨格筋の発生がうまくいくためには、PTB、SH2、Grb2結合ドメインが同じShc分子内に存在することが必要であった。以上より、タンパク質内の新たなタンパク質間相互作用モチーフの獲得とさまざまな細胞種や生物におけるこれらの異なる利用が、複雑な生理学的機能を支えているのかもしれない。

W. R. Hardy, L. Li, Z. Wang, J. Sedy, J. Fawcett, E. Frank, J. Kucera, T. Pawson, Combinatorial ShcA docking interactions support diversity in tissue morphogenesis. Science 317, 251-256 (2007).[Abstract] [Full Text]

L. B. Ray, From Protein Interactions to Complex Physiology. Sci. STKE 2007, tw248 (2007).

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