Atlas Antibodies社では、ChIP-Exo-Seq検証済み抗体をご提供しています。コーネル大学と共同研究を実施し、高い成功率(50%)と再現性、背景ノイズの低減を実現したこれらの抗体は、転写因子結合部位やヒストン修飾など、エピジェネティクス研究における最先端の要求にも対応します。
ChIP-Exo-Seqとは、従来のChIPやChIP-Seqを改良したクロマチン免疫沈降法であり、タンパク質とDNAの相互作用を単一塩基レベルで高精度に解析することが可能なアッセイ手法です。
本記事では、「ChIP-Exo-Seqとは何か?」という基礎から、従来法との違いや本抗体製品の特長を紹介いたします。
背景
ChIP-Exo-Seqとは
ChIP-Exo-Seq は、2011年にコーネル大学のFrank Pugh教授によって開発された手法で (Cell. 2011 Dec 9;147(6):1408-19)、クロマチン免疫沈降 (ChIP) とエキソヌクレアーゼ消化 (exo)、およびハイスループット シーケンシング (seq) を組み合わせ、従来の ChIP や ChIP-Seq と比較して、タンパク質-DNA 結合部位のより正確で具体的なマッピングを実現するアッセイです。タンパク質-DNA 相互作用、エピジェネティクス、および転写調節の研究に最適です。
ChIP、ChIP-Seqとの比較
ChIPはタンパク質とDNAの相互作用を検出する基本的な手法で、ChIP-Seqはそれに次世代シーケンスを組み合わせてゲノム全体を解析可能にしたものです。ChIP-Exo-Seqはさらにエキソヌクレアーゼ処理を加えることで、結合部位を1塩基レベルで特定できる高解像度・低ノイズの最新手法です。
項目 | ChIP | ChIP-Seq | ChIP-Exo-Seq(またはChIP-Exo) |
---|---|---|---|
定義 | 抗体を用いてタンパク質-DNA相互作用を検出 | ChIPに次世代シーケンスを組み合わせた手法 | 相互作用の精密なマッピングのためにエキソヌクレアーゼ処理を追加 |
解像度 | 低(DNAの広範な領域) | 中(結合領域 ± 約300bp) | 高(結合部位を1塩基レベルで解析) |
出力データ | タンパク質に結合したDNAフラグメント | 幅広いピークを示すシーケンスデータ | タンパク質-DNA接触点の正確なピークとヒートマップ |
主要ステップ | タンパク質-DNA複合体の免疫沈降 | 免疫沈降 + シーケンス | 免疫沈降 + エキソヌクレアーゼ処理 + シーケンス |
ノイズ | 高(非特異的DNAが沈降する可能性あり) | 中(シーケンスによる背景ノイズ) | 低(未結合DNAはエキソヌクレアーゼにより除去) |
実験の複雑さ | 簡単なプロトコール | 中程度の複雑さ | 中程度の複雑さ(エキソヌクレアーゼ処理が必要) |
主な用途 | 基本的なタンパク質-DNA相互作用の研究 | タンパク質-DNA相互作用のゲノム全体のマッピング | 結合部位の精密なローカライゼーション |
利点 | シンプルで低コスト | ハイスループットかつゲノム全体のデータ取得が可能 | 単一塩基解像度、ノイズが少ない |
特長
- 高解像度: 結合部位のマッピングにおいてほぼ 1 塩基精度を実現します。
- ノイズの低減: エキソヌクレアーゼ トリミングによりバックグラウンド DNA が除去され、よりクリーンなデータが得られます。
- 正確な局在: 転写因子結合部位やその他のタンパク質-DNA相互作用のより正確なマッピングを提供します。
使用例
Anti-ELF1抗体によるChIP-exo-Seq解析
目的: ELF1転写因子のDNA結合部位を高精度にマッピング
解析方法: ChIP-exo-Seqにより、結合モチーフ周辺 ±100 bp の範囲でシーケンスリードを可視化
A. 細胞株K562を用いたAnti-ELF1抗体(品番:HPA001755)と他社製ELF1抗体のターゲット濃縮性能の比較
整列されたシーケンスリードの5'末端を、対応するモチーフからの距離に対してプロットした。リードはストランド別に色分けした(青:Forward, 5'→3'方向鎖、赤:Reverse, 3'→5'方向鎖)。サンプル間で同じ行にリンクさせたリードを、結合モチーフの中央値を中心とした100 bpウィンドウ内に表示し、平均ランク順にソートした。
B. 細胞株K562を用いたAnti-ELF1抗体(品番:HPA001755, ロット:R00715)におけるChIP-Exo-Seqコンポジットグラフ
鎖方向別リード(青:Forward, 5'→3'方向鎖、赤:Reverse, 3'→5'方向鎖)および非特異的IgGコントロール(黒:Forward、灰:Reverse)を、複数の参照結合部位の中心からの距離に対してプロットした。プロットは、460箇所の部位にわたって21 bp移動平均でスムージングした。
(データ提供:Prof. B. F. Pugh´s Lab at Cornell University, Ithaca, NY, USA)
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