図3 RFP-target レポーターのノックダウン機構
ゲノムDNA 上に統合されたshRNA-target レンチウイルスレポーターコンストラクトの略図およびRFP-target レポーターのノックダウン機構。
機能的shRNA を発現する細胞は低レベルのRFPmRNA 発現を、非機能的shRNA を発現する細胞は高レベルのRFP mRNA 発現が確認できた。
図4 ハイスループットRNAi TGF-βスクリーニングデータ比較
手法:セレクタ社25K shRNA library/6.5K target Validated library、競合他社#1 human 25K lentiviral shRNA library、競合他社#2 human 200K lentiviral shRNA library を同一条件下(MOI=0.5)かつ各ライブラリコンプレキシティの50 - 100倍の多重度にてHep3B細胞へトランスダクションした。細胞は低密度に播種し、TGF-β(1ng/mL)処理を3週間行った。TGF-βアポトーシスを抑制するshRNA 候補をTGF-β耐性細胞のゲノムDNA から増幅し、シークエンシング(競合他社ライブラリ#1)、Aff ymetrix U133+2 array へのハイブリダイゼーション(競合他社ライブラリ#2)、Illumina-Solexa Genome Analyzer を用いた次世代シークエンシング(Cellecta 社ライブラリ)により同定した。各TGF-βゲノムスクリーニングは2回繰り返して行い、同定された既知TGF-βエフェクターをまとめた。
結果:競合他社ライブラリ#1 からはTGF-β受容体タイプ1のみ同定された。競合他社ライブラリ#2 からはTGF-βシグナル経路への関与が知られているものとしてはSMAD4 のみが同定され他方は本経路への関与が未知の遺伝子であった。個々のshRNAコンストラクトを用いた確認実験より、競合2社のライブラリを用いた1 次スクリーニング結果には高確率(90 - 95%)で偽陽性シグナルが含まれることが示唆された。
これに対し、セレクタ社25K ライブラリの1次スクリーニングでは、TGF-βシグナル経路に関与する既知および新規遺伝子が100 種類以上同定された。繰り返し実験で再現性がみられた(〜80%)と同時に、確認実験でも同様の結果が得られた(〜 95%)。TGF-βシグナル経路に関与する既知因子(SMAD4, type I and type II TGF-βreceptors, WNT5A 等)が同定されたことに加え、PI3K/NF-kB シグナル経路に関与する因子が数多く同定されたことから、Hep 3B において本経路がTGF-βの介するアポトーシスに重要な役割を担うことが示唆された。