脂質定量キットは、脂質に結合した場合にのみ特異的に蛍光を発する脂質結合分子を用いて、粗精製試料または精製試料中の中性脂肪を測定します。
背景
脂質(Lipids)は、モノグリセリドやジグリセリド、トリグリセリド、脂肪、ステロール、およびその他を含む多様な分子グループの総称です。脂質は、細胞膜の完全性を維持するだけではなく、膜輸送やシグナル伝達、アポトーシス、エネルギー貯蔵などの細胞プロセスに関与しています。脂質代謝の摂動は、癌、糖尿病、アルツハイマー病、冠動脈性心疾患などの多くの疾患に関連します。
脂質を研究するためには、最初に組織や細胞培養物から脂質抽出[1]を行い、その後定量化する必要があります。脂質を高感度に定量するにはいくつかの方法がありますが、HPLC装置や光散乱検出技術 Iatroscan TLC-FID アナライザー などの高価な装置を必要とします[2、3]。
使用目的
Cell Biolabs社の脂質定量キット(蛍光法)は、脂質に結合した場合にのみ蛍光を発する脂質結合分子を用いて、粗精製試料または精製試料中の中性脂肪を特異的に測定します。最初に粗精製脂質または精製脂脂質を96ウェルプレートに分注します。続いて、有機溶媒の除去後に、蛍光試薬をサンプルに添加して短時間インキュベーションすると、脂質の量に相関する蛍光の増加が検出されます(励起:490nm、蛍光:585nm)。未知サンプル中の脂質濃度は、脂質のスタンダードカーブに基づいて算出されます。
本製品の検出感度は、3.9 mg/dL で、Vanillin法[4]よりも少なくとも10倍高い感度を示します。
特長
- 血清、血漿、精製脂質または脂質抽出物中の中性脂肪を蛍光検出
- 検出限界:3.9 mg/dL
構成内容
- 蛍光試薬(100X)
- 脂質スタンダード
プロトコール
I.水相サンプルの場合(血漿、血清、精製リポタンパク質)
- キット使用前に全ての試薬を混合、調製してください。
(サンプルおよびスタンダードの各試料は二連でのアッセイを推奨します。) - 96ウェルプレートにスタンダードまたは未知のサンプル 40 μLを添加します。
- 1X蛍光試薬 200 μL を加え、5回ピペッティングにて混合します。
- 遮光し、5〜15分間室温でインキュベートします。
- 蛍光プレートリーダーで測定します。(励起:490 nm、蛍光:585 nm)
- スタンダードカーブと比較することで、未知サンプルの濃度を算出します。
II.有機相サンプルの場合(脂質抽出物や精製脂質)
- キット使用前に全ての試薬を混合、調製してください。
(サンプルおよびスタンダードの各試料は二連でのアッセイを推奨します。) - 96ウェルプレートにスタンダードまたは未知のサンプル 40 μLを添加します。
- 55℃で、20〜30分間プレートをインキュベートし完全に有機溶媒を蒸発させます。
- 4℃で2〜3分間、プレートをインキュベートします。
- イソプロパノールを40 μL加え、ピペッティングにより、10回上下によく混合します。
- 1X蛍光試薬 200 μL を加え、5回ピペッティングして混合します。
- 遮光し、5〜15分間室温でインキュベートします。
- 蛍光プレートリーダーで測定します。(励起:490 nm、蛍光:585 nm)
- スタンダードカーブと比較することで、未知サンプルの濃度を算出します。
使用例
図1.メタノール/クロロホルム中での脂質定量キット(蛍光)のスタンダードカーブ。
図2.トリオレインまたはリゾホスファチジルコリンの検出。
精製されたトリオレイン(青)またはリゾホスファチジルコリン(緑)をメタノール/クロロホルムで希釈し、脂質定量キット(蛍光)を用いて測定した。
図3.水中での脂質定量キット(蛍光)のスタンダードカーブ。
図4.水性サンプル中の脂質の検出。
未希釈のヒト血清、ヒト血漿、および水を脂質定量キット(蛍光)を用いて測定した。
脂質定量キット(蛍光)
品名 | メーカー | 品番 | 包装 | 希望販売価格 |
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Lipid Quantification Kit (Fluorometric) | CBL | STA-617 | 100 ASSAY |
¥137,000 |
商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。
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