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記事ID : 12706
研究用

リポタンパク質の代謝研究に 脂質抽出キット(クロロホルムフリー)

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脂質抽出キット(Lipid Extraction Kit)は、従来法(Folch法など)の欠点を解消し、有害なクロロホルムを使用しない抽出キットです。血漿、血清、培養細胞サンプル由来の脂質を抽出できます。有機層が上層に来ることから、脂質画分の回収が容易で、ハイスループットなリキッドハンドリングシステムにも対応します。

背景

脂質抽出法

脂質(Lipids)は、モノグリセリドやジグリセリド、トリグリセリド、脂肪、ステロール、およびその他を含む多様な分子グループの総称です。脂質は、細胞膜の完全性を維持するだけではなく、膜輸送やシグナル伝達、アポトーシス、エネルギー貯蔵などの細胞プロセスに関与しています。脂質の代謝の摂動は、癌、糖尿病、アルツハイマー病、冠動脈性心疾患などの多くの疾患に関連します。

脂質を研究するためには、しばしば組織や培養細胞からの抽出操作が必要になります。
従来、フォルチ法(Folch法[1])がよく用いられていますが、Folch法はいくつかの欠点を有しています。1点目は、抽出する脂質が下層の有機層に含まれることで、精製中に上層のタンパク質含有相を通過しなくてはならず、脂質サンプルへのコンタミネーションが引き起こされます。結果として得られる低純度の脂質サンプルは、HPLCなどの装置を詰まらせ、下流の脂質分析を妨害する場合があります。2点目として、Folch法では有機相溶媒としてクロロホルムを使用していることです。吸引によるクロロホルムの長期暴露は、肝炎や黄疸など、肝臓に影響をもたらします。また、クロロホルムは発癌性を持つことが動物で実証されており、腎臓や肝臓腫瘍の発生を増加させます。実際に、米国環境保護庁(EPA)では、クロロホルムはグループB2(発癌性物質2:ヒトで発癌性を持つ可能性が高い)に分類されています。

特長

  • クロロホルムフリーの有機抽出法
  • 血漿、血清、培養細胞から脂質を抽出できます
  • 上層の有機層に抽出され、ハイスループットのアプリケーションにも適しています

構成内容

  • 脂質抽出試薬 A
  • 脂質抽出試薬 B
  • 脂質抽出試薬 C

プロトコール

  1. 100 μL の 血清、血漿、細胞懸濁液、または全組織ホモジネートをチューブに入れる
  2. 500 µL の 脂質抽出試薬 A を加え、10分間ボルテックス
    (チューブシェーカーまたはボルテックスを推奨)
  3. 250 µL の 脂質抽出試薬 B を加え、5分間ボルテックス
  4. 250 µL の 脂質抽出試薬 B を加え、5分間ボルテックス
  5. 500 µL の 脂質抽出試薬 C を加え、5分間ボルテックス
  6. 5分間遠心(1000 x g)
  7. 脂質を含む上層の有機層を慎重に新しいチューブに移す
  8. 残っている下層の水層に 530 µL の 脂質抽出試薬 B を加え、5分間ボルテックス
  9. 5分間遠心(1000 x g)
  10. 脂質を含む上層の有機層を慎重に取り出し、ステップ7の有機層にプールする
  11. 残っている下層の水層に 420 µL の 脂質抽出試薬 B を加え、5分間ボルテックス
  12. 5分間遠心(1000 x g)
  13. 脂質を含む上層の有機層を慎重に取り出し、最初の2つの有機層にプールする
  14. 有機層をプールしたチューブを開けた状態で、真空濃縮器(vacuum concentrator)中または37ºCの乾燥インキュベーター中で、一晩(または乾燥するまで)乾燥させる
  15. ブタノールやシクロヘキサンなどの有機溶媒で脂質抽出物を再懸濁

 

上記プロトコルは、100μL のサンプルサイズについて記載しています。他のサンプル容量で実施するときは、それぞれの抽出試薬の量について以下の表1を参照ください。

表1.様々なサンプルサイズでの試薬調製容量
サンプル容量100 μL500 μL1 mL
ステップ 2: 脂質抽出試薬 A 500 μL 2.5 mL 5 mL
ステップ 3: 脂質抽出試薬 B 250 μL 1.25 mL 2.5 mL
ステップ 4: 脂質抽出試薬 B 250 μL 1.25 mL 2.5 mL
ステップ 5: 脂質抽出試薬 C 500 μL 2.5 mL 5 mL
ステップ 8: 脂質抽出試薬 B 530 μL 2.65 mL 5.3 mL
ステップ 11: 脂質抽出試薬 B 420 μL 2.1 mL 4.2 mL

使用例

抽出した脂質を使用したトータルコレステロールアッセイ
図1 抽出した脂質を使用した トータルコレステロールアッセイ (品番: STA-390)
(A)コレステロール スタンダードカーブ
(B)脂質はウシ胎児血清(FBS)/HEK293細胞から、Folch法(青のバー)/本キット(赤のバー)を使用して調製した。アッセイプロトコールに従って、コレステロール量を測定した。

抽出した脂質を使用した遊離脂肪酸アッセイ
図2 抽出した脂質を使用した 遊離脂肪酸アッセイ (品番: STA-619)
(A)遊離脂肪酸(FFA)スタンダードカーブ
(B)脂質はウシ胎児血清(FBS)/HEK293細胞から、Folch法(青のバー)/本キット(赤のバー)を使用して調製した。アッセイプロトコールに従って、FFA量を測定した。

抽出した脂質を使用したホスファチジルコリンアッセイ
図3 抽出した脂質を使用した ホスファチジルコリンアッセイ (品番: STA-600)
(A)ホスファチジルコリン(PC)スタンダードカーブ
(B)脂質はウシ胎児血清(FBS)/HEK293細胞から、Folch法(青のバー)/本キット(赤のバー)を使用して調製した。アッセイプロトコールに従って、ホスファチジルコリン量を測定した。

参考文献
  1. Folch J, Lees M, and Slone Stanley GH (1956) J. Biol. Chem. 226, 497-509.

脂質抽出キット(クロロホルムフリー)

品名 メーカー 品番 包装 希望販売価格
Lipid Extraction Kit (Chloroform-Free)詳細データ CBL STA-612 50 PREP.
お問い合わせ
Lipid Extraction Kit (Chloroform-Free), Trial Size詳細データ CBL STA-612-T 10 PREP.
販売終了

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商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。

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