ヒト間葉系幹細胞とは
ヒト間葉系幹細胞(Human Mesenchymal Stem Cells; hMSC)は、ヒトの様々な組織中の微小環境に存在する多能性幹細胞です。間葉系幹細胞は、骨芽細胞、軟骨細胞、筋芽細胞、脂肪細胞など様々な細胞タイプへの分化能を有しており、組織修復を促進する因子を分泌し微小環境を変化させることで、抗炎症および抗線維化の役割を果たすと考えられています。
ヒト間葉系幹細胞の特性
ヒト間葉系幹細胞は、脂肪組織など様々な組織から採取できること、免疫特権(免疫応答や炎症反応などが起こりにくい性質)を持つこと、in vivoでがん組織や創傷部位に特異的に遊走するという性質を持つことから、再生医療分野で注目を浴びている幹細胞のひとつです。近年では、3Dプリンティング技術を用いた組織構築への応用や、間葉系幹細胞から分泌されるエクソソーム(細胞外小胞)を用いた治療の可能性についても期待が高まっています。
こうした臨床への応用を見据え、研究開発の段階で間葉系幹細胞の拡大培養について考える必要があります。拡大培養では、間葉系幹細胞の性質は培地成分と培養条件に大きく影響を受ける可能性があるため、培地を選定する上で、培地製品の品質と性能は非常に重要です。一般的な細胞培養培地や細胞接着用コーティング剤、細胞凍結保存培地の多くに、動物血清やその他の異種由来成分が含まれています。例えば、ウシ胎児血清(FBS)には、細胞接着因子、細胞増殖因子、ホルモンなど様々な成分が含まれており、ロット間差が生じすく、ウイルスや病原体のコンタミネーションリスクがあります。MSC Nutristem®のような成分既知、血清フリー、ゼノフリー(異種由来成分不含)の培地を用いて培養プロセスを最適化することにより、コンタミネーションリスクを排除し、品質の安定した細胞の調製につながると考えられます。
MSC NutriStem® 間葉系幹細胞培養システム
ヒト間葉系幹細胞を用いた研究開発や臨床応用をサポートするため、血清フリー、ゼノフリー製品としてMSC NutriStem® 増殖培地やアタッチメント溶液、MSCgo™ 分化誘導培地、細胞剥離溶液、NutriFreez® D10細胞凍結保存培地を提供しています。これらの製品はcGMP準拠の施設で製造されています。
間葉系幹細胞の培養に特化したMSC NutriStem® 培地は、以下のような間葉系幹細胞の特徴を維持しながら、長期的な培養をサポートします。また、骨髄、脂肪、Wharton’s jelly、胎盤、臍帯、歯髄など様々な組織由来の間葉系幹細胞の培養におすすめです。
間葉系幹細胞を用いた再生医療研究や治療への応用が加速するなか、細胞培養培地を選択する際は、求められる細胞の品質を考慮し、最適な培地を選ぶことが重要です。
Xeno-Free(ゼノフリー)システム
ザルトリウス・ステディム・ジャパン株式会社では、ヒト間葉系幹細胞の増殖と維持のために最適な無血清・xeno-free(ゼノフリー)培養システムを提供しています。

ヒト間葉系幹細胞Xeno-Freeシステムは、様々な由来のヒト間葉系幹細胞培養に適しています。

様々な組織(Wharton’s Jelly:WJ、脂肪:AT、骨髄:BM)由来のヒト MSC を MSC NutriStem® XF 培地で3 継代した (x 100 倍)。全ての MSC において正常な線維芽細胞様の細胞形態が観察された。