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技術情報

OZK社 Labiase技術情報

記事ID : 7982

1. Labiaseの防菌効果に関する資料


[1] Labiaseの溶菌スペクトルの検討

Labiaseの溶菌スペクトルを、対象菌に対する溶菌活性を測定することで検討した。Labiaseの溶菌活性を対象菌の菌体懸濁液の、濁度の減少と見なし、以下の方法で濁度減少率を測定した。対象菌菌体(対数増殖期)懸濁液の濁度(OD660)が1.0、Labiaseが0.25%に最終的になるようにMcIlvain緩衝液(pH4.0)で調製し、2時間反応後の反応液の濁度を測定した。コントロールとしてLabiaseを除いて同様に調製したものの濁度も、同様にして測定した。溶解率は下式により求めた。結果を表1に示す。

【式】

溶解率

d(0,t):0,t hr後の反応液の濁度
D(0,t):0,t hr後のコントロールの濁度

 

【表1】

Labiaseの溶菌スペクトルの検討

表1から明らかなように、Labiaseはグラム陽性細菌(乳酸菌、火落菌等)のみならず、グラム陰性細菌(大腸菌、Pseudomonas属等)もよく溶菌し、幅広い溶菌スペクトルを持っているということがわかった。特に清酒などの火落ちの原因菌である火落菌、食中毒の原因菌の一つであるとされているStaphylococcus aureus IFO12732また、う蝕細菌であるStreptococcus mutans JCM5705をよく溶解し、火落ち予防、食中毒予防さらに虫歯予防への用途が考えられた。

[2] Labiaseのアルコール存在下における溶菌活性の検討

Labiaseのアルコール存在下での溶菌活性を検討するために、[1]の実験と同様の反応系に、エタノールを15%存在させた場合と、存在させなかった場合の乳酸菌及び火落菌の溶解率を検討し、比較した。結果を表2に示す。

【表2】

Labiaseのアルコール存在下における溶菌活性の検討

表2より明らかなように、Labiaseの溶菌活性は、エタノールが少なくても15%存在していても存在していない時と全く遜色がなかった。つまり、Labiaseは、アルコール濃度15%以下である清酒や、ビールなどのアルコール飲料に直接作用させても、溶菌活性は十分に効果が有るということが分かった。

[3] Labiaseを用いた黄色ブドウ球菌(S.aureus IFO12732)の増殖阻害試験

濾過滅菌したLabiaseの水溶液を、オートクレーブ済みの一般細菌用培地であるブレインハートインヒュージョンブイヨン「ニッスイ」(日水製薬(株)製)に最終濃度0.25%になるように添加したものと、Labiaseの水溶液の代わりに滅菌した蒸留水を加えたものに、1白金耳の食中毒の原因菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus IFO12732)を植菌し、37℃で24時間、振盪培養したときの濁度(OD660)の経時変化を比較した。比較として卵白リゾチーム(シグマ社製)を最終濃度0.25%となるように、同様に添加した場合も行った。結果を図1に示す。

【図1】

黄色ブドウ球菌に対する増殖阻害効果の検討

例えば、吸光度変化が起こるまでは、静菌効果があったということにすると、図1から明らかなように、無添加区分と比較して、卵白リゾチームを培地に0.25%になるように添加した場合、約2時間の静菌効果がみられ、Labiaseを同量添加した場合においては、約6時間の静菌効果があった。よって、Labiaseを食品などに作用させれば、食中毒の原因である細菌の増殖を抑えることができる。またその効果は、防腐剤として以前から用いられている卵白リゾチームと比較してはるかに高かった。

 

[4] Labiaseを用いた火落菌増殖阻害試験

濾過滅菌したLabiaseの水溶液を、オートクレーブ済みのSI培地(1%酵母エキス、0.5%ポリペプトン、2.5%グルコース、1%酢酸ナトリウム、0.01%硫酸マグネシウム、0.00025%硫酸マンガン、0.00025%硫酸第一鉄、0.005%メバロン酸、10%エタノール、pH5.1)に最終濃度0.25%、0.125%及び、0.025%になるように添加したものと、Labiaseの水溶液の代わりに滅菌した蒸留水を加えたものに、1白金耳の火落菌(S24)を植菌し、30℃で120時間、静置培養したときの濁度(OD660)の経時変化を比較した。比較として卵白リゾチーム(シグマ社製)を最終濃度0.25%となるように、同様に添加した場合も行った。結果を図2に示す。

【図2】

火落菌S24に対する増殖阻害効果の検討

図2から明らかなように、無添加区分と比較して、Labiaseを培地に添加した区分は、いずれの場合においても火落菌S24の増殖が全く見られず、顕著な火落菌に対する増殖阻害効果があった。一方、卵白リゾチームには、ほとんど火落菌への増殖阻害効果はみられなかった。また他の火落菌に関しても同様の検討を行ったが、いずれの場合においても同様の結果であった。また本検討は、10%エタノールの存在下で行っており、Labiaseの増殖阻害効果は少なくとも10%エタノールの存在下においても有効であるということが判明した。よって、Labiaseを作用させることによって、清酒やビールをはじめとするアルコール飲料の火落ち及び乳酸菌による雑菌汚染を防止できる。

 

[5] Labiaseを用いたう蝕細菌(S. mutans JCM5705)の増殖阻害試験

濾過滅菌したLabiaseの水溶液を、オートクレーブ済みの一般細菌用培地であるブレインハートインヒュージョンブイヨン「ニッスイ」(日水製薬(株)製)に最終濃度0.25%、0.125%及び、0.025%になるように添加したものと、Labiaseの水溶液の代わりに滅菌した蒸留水を加えたものに、1白金耳の虫歯の原因菌であるう蝕細菌(S.mutans JCM5705)を植菌し、37℃で24時間、静置培養したときの濁度(OD660)の経時変化を比較した。比較として卵白リゾチーム(シグマ社製)を最終濃度0.25%となるように、同様に添加した場合も行った。結果を図3に示す。

【図3】

う蝕細菌に対する増殖阻害効果の検討

図3から明らかなように、無添加区分と比較して、Labiaseを培地に添加した区分は、いずれの場合においても、う蝕細菌(S.mutans JCM5705)の増殖が全く見られず、顕著なう蝕細菌に対する増殖阻害効果があった。一方、卵白リゾチームには、全くう蝕細菌への増殖阻害効果はみられなかった。よって、Labiaseを例えば、ねり歯磨き、粉状歯磨き、マウスウオッシュ等に混合することによって、虫歯の原因の一つであるう蝕細菌の増殖を抑え、虫歯予防剤として利用できるということが分かった。

 

[6] Labiaseの熱に対する感受性の検討

試験[3]、試験[4]及び試験[5]で行った方法と同様にして、Labiaseの最終濃度が0.25%になる場合において、培地に添加する前に加熱処理(沸騰水中、15分間)したものと、していないものとのそれぞれの菌体に対する増殖抑制効果を検討し、比較した。結果を図4、図5及び図6に示す。
なお、本試験は、Labiase中に存在する溶菌活性を熱によって完全に失活させて(確認済み)、Labiaseの微生物の増殖阻害効果が溶菌活性単独によるものか、もしくは全く別の微生物に対する増殖阻害活性を有する物質によるものかを明らかにするために行ったものである。

【図4】

熱に対する感受性検討

図4から明らかなように、加熱処理を行って酵素を失活させても3時間程度の静菌効果があったことより、Labiaseの黄色ブドウ球菌に対する増殖阻害効果は、溶菌活性だけでなく他の増殖阻害効果を持った物質も効いているということが分かった。

【図5】

熱に対する感受性検討

また図5の火落菌(S24)の場合においては、加熱処理の有無に関わらず、少なくとも120時間は完全に火落菌の増殖を阻害しており、Labiaseの溶菌活性以外の物質が効いているということがわかった。

【図6】

熱に対する感受性検討


また図6のう蝕細菌の場合においても、加熱によってある程度の増殖阻害効果の低下が見られるものの、完全に効果を失わないという結果を得た。よってS.mutansの場合においても、Labiaseの溶菌活性以外で、増殖阻害効果を持った未知の物質の存在が示唆される結果となった。

 以上3つの結果により、Labiaseの増殖阻害効果は、その対象となる菌株によって多少異なるが、細胞壁溶解酵素の溶菌活性のみが働いているのではなく、Labiase中に含まれる未知の物質との協奏効果によるものであることが判明した。このことは、Labiaseの生産菌であるS.fuluvisimmus が放線菌であり、抗菌物質を生産している可能性が高いということ、また本酵素は、精製をほとんど行なっていない複合酵素剤ということから、充分予想しうることであった。またLabiaseの防菌効果は、熱に対して非常に安定であるといえる。

以上

なお、上記内容については現在特許出願中。

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