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アルツハイマー病:リチウムはアミロイド産生を阻害する

ALZHEIMER'S DISEASE:
Lithium Inhibits Amyloid Production

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Sci. STKE, Vol. 2003, Issue 184, pp. tw200, 27 May 2003.
[DOI: 10.1126/stke.2003.184.tw200]

要約 : Phielらは、リチウムが、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3α(GSK-3α)活性の阻害によりアミロイドβ-タンパク質(Aβ)の産生を妨げることを発見し、これによって新しい種類のアルツハイマー病治療への門戸を開いた。主にAβ40とAβ42との凝集物から構成されるアミロイド斑と、神経原繊維変化は、アルツハイマー病の2つの顕著な病態生理学的特徴である。Phielらは、神経原繊維変化の発生の一因となりうるGSK-3に関して、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の連続的タンパク質分解に依存するプロセスであるAβ産生への関与の可能性を研究した。GSK-3αとGSK-3βを阻害するリチウムは、APPの定常状態レベルには影響を与えることなく、APPを発現しているチャイニーズハムスター卵巣細胞によるAβ40とAβ42の分泌を減少させた。プロセシング中間体の分析により、NotchならびにAPPのプロセシングに関与しているγ-セクレターゼによるタンパク質分解時またはその前に、リチウムがAPPプロセシングを阻害することが示された。リチウムはNotchのプロセシングには影響を与えなかった。RNA干渉とGSK-3α過剰発現によるGSK-3αおよびGSK-3βレベルの操作を併用した薬理学的分析では、リチウムによるAPPプロセシングの阻害がGSK-3αによって仲介されることが明らかになった。治療用量のリチウムも、家族性アルツハイマー病のマウスモデルにおいてAβの組織レベルを低下させた。リチウムはアミロイド斑および神経原繊維変化の両方の形成を阻害し、APPのγ-セクレターゼ切断に影響を与える他の薬剤とは異なり明らかにNotchのプロセシングを減少させるため、これらのデータは、GSK-3α阻害剤がアルツハイマー病治療において何らかの役割を果たす可能性を示唆している。De StrooperとWoodgettは、本研究の背景および重要性について述べる。

C. J. Phiel, C. A. Wilson, V. M.-Y. Lee, P. S. Klein, GSK-3 regulates production of Alzheimer's disease amyloid-s peptides. Nature 423, 435-439 (2003).
B. De Strooper, J. Woodgett, Mental plaque removal. Nature 423, 392-393 (2003).

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