Science Signaling とは?

シグナル伝達(cell signaling)は、環境からの刺激に応答して細胞間・細胞内で起こる情報伝達プロセスのことです。細胞は、受け取った分子シグナルによってその振る舞いを決定し、また自身もシグナルを発信します。シグナル伝達機構は生体システムの制御機構を理解する上で重要な意味を持つものとして大きな注目を集め、その研究は近年における生物学の飛躍的な発展を支える礎となりました。過去40年間にノーベル生理学・医学賞を受賞した研究のうち、約30%がシグナル伝達分野に関連しています。現在では、生物医学分野だけでなく、幅広い分野の研究者から高い関心を集めています。

Science Signalingは、世界的な科学学術誌Scienceの姉妹誌として1999年9月に米国科学振興協会(AAAS)から創刊されて以来*、シグナル伝達分野の最新情報を毎週お届けしています。シグナル伝達ネットワークに直接関係するものだけでなく、システム生物学、合成生物学、調節経路、創薬など、広範なトピックを網羅しています。このため、シグナル伝達を専門とする研究者の方々はもとより、この分野に興味を持たれたあらゆる分野の研究者、教員、学生の皆様に、貴重な情報源としてご活用いただいています。

Science Signalingには、原著論文をはじめとして、以下のような記事が掲載されています。研究成果についての最新情報だけでなく、オンラインジャーナルとしての特性を生かし、教育のための資材やツールも提供しています。

Research Articles、Research Resources
重要な研究結果を報告する原著論文。
Perspectives、Reviews、Protocols
重要なテーマに対する著者の意見、話題の本についての書評、関心の高いトピックスの詳細な分析と厳密なレビュー、実験プロトコルの背景情報や詳細手順、新たな手法を試すときに役立つトラブルシューティングガイドなど。
Teaching Resources、Glossary
シグナル伝達分野の複雑なトピックスについて理解を深めるために利用できるツール。講義ノート、スライド、動画、討論、オンラインチュートリアルなど。

シグナル伝達は日本での研究が盛んな分野でもあり、Science Signalingにも日本人や日本の研究機関からの論文が多数掲載されています。当サイトは2003年より、そのScience Signalingの一部コンテンツを、専門家の監修のもと日本語訳でお届けしています。日本語での貴重な情報リソースとして、日本でのシグナル伝達の研究の発展に寄与してきました。新しい医療や創薬への活用など、さまざまな分野での応用が期待される先進的研究を発信し続けるScience Signalingと当サイトに、これからもぜひご注目ください。

* 創刊当時はSignal Transduction Knowledge EnvironmentSTKE)でしたが、2008年1月にScience Signalingに改名。