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シナプス伝達:微小なものを最大化する

SYNAPTIC TRANSMISSION:
Maximizing Your Minis

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Sci. STKE, Vol. 2003, Issue 189, pp. tw246, 1 July 2003.
[DOI: 10.1126/stke.2003.189.tw246]

要約 : SharmaとVijayaraghavanは、休止時の海馬ニューロンからの神経伝達物質放出の調節を研究し、シナプス前のニコチン性アセチルコリン受容体(nAChRs)を介して流入するカルシウムが、シナプス後細胞が閾値に達するのに十分なグルタミン酸放出の群発を導くことを発見した。休止時のニューロンは、個々のシナプス小胞の内容物をランダムな間隔で自発的に放出している。その結果生じる微小シナプス後電位は、シナプス後応答の各素量に相当するが、非常に小さいためシナプス後細胞の発火に影響がなく、その生理的機能は解明されていない(Zuckerによるプレビュー(Preview)参照)。SharmaとVijayaraghavanは、ラット海馬切片において、電圧固定したCA3錐体細胞からの微小興奮性シナプス後電流(mEPSC)を、ニコチンの局所適用前、適用中、適用後に記録した。ニコチンは、多くの素量の一斉放出と一致して、大きなmEPSCの割合を増加させ、mEPSCの高頻度群発の発生を促進した。細胞外カルシウム濃度の操作と組み合わせた薬理学的分析により、このmEPSCの振幅と頻度の増加が、シナプス前nAChRsを介したカルシウム流入に引き続いて起こる、細胞内貯蔵からのカルシウム放出によることが示された。電圧固定を解除すると、ニコチン適用に応答して放出されたグルタミン酸は、シナプス後細胞中の活動電位の群発を誘発した。このように、シナプス前nAChRsを介したカルシウムの流入によって、シナプス前ニューロンの発火とは無関係にシナプス後細胞中でインパルスを発生させることができる機構が作られるようである。

G. Sharma, S. Vijayaraghavan, Modulation of presynaptic store calcium induces release of glutamate and postsynaptic firing. Neuron 38, 929-939 (2003).
R. S. Zucker, Can a synaptic signal arise from noise? Neuron 38, 845-846 (2003).

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