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薬剤開発 薬剤の遺伝子発現解析による分類

DRUG DEVELOPMENT:
Classifying Drugs by Gene Expression Analysis

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2003, Issue 195, pp. tw310, 12 August 2003.
[DOI: 10.1126/stke.2003.195.tw310]

要約 : 分子学的病因が明らかでない疾患において、高い処理能力を持つ薬剤開発用スクリーニング法を定義することは、とりわけ困難である。Guntherらは、マイクロアレイ解析による遺伝子発現プロファイルに基づいたスクリーニング法によって、うつ病や精神病の治療に用いる薬剤や、疼痛管理および依存症に関連するオピオイド受容体と相互作用する薬剤を、分類・同定する方法を述べている。研究者らは、分類樹(CT)法およびランダムフォレスト(RF)法という、2種類の監視分類法を用いた(共に、未知サンプルを現存の既知サンプル分類に基づいて分類する方法である)。ヒト神経細胞を初代培養し、非定型、三環系、モノアミン酸化酵素阻害薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の4分類それぞれに属する抗うつ薬で処理した。それらは、古典的向精神薬、非定型抗精神薬、δ-、κ-、μ-オピオイド受容体に対するオピオイド受容体拮抗薬である。遺伝子発現をマイクロアレイ法で解析した後、遺伝子のうち3度以上バックグラウンドに対して刺激されたものだけを、続けて解析した。CT法は、薬剤を臨床上の用途に分類する上で、89%において有効であり、RF法は83%において有効であった。さらにRF解析によって、SSRIおよび三環系抗うつ薬を、モデルにおける未知サンプルとして扱ったところ、サブクラスに正しく分類された。その結果および方法から、幾つかの興味深い論点が提起される。(i)遺伝子を、それぞれの薬剤分類の代表として同定すれば、疾患の基礎をなす分子機構に向けた新たな標的および洞察が得られる可能性がある。(ii)誤って分類された薬剤は、今まで知られてない治療薬候補であると考えられる。例えば、δ-オピオイド受容体拮抗剤は、CT法とRF法がいずれも抗うつ薬に誤って分類したが、このことから、これらの受容体はうつ病治療に関連する標的となることが示唆される。また、(iii)新たな薬剤分類が、特に複数の収束経路が病態の一因となるような、複雑な疾患表現型に対する新薬について見い出される可能性がある。

E. C. Gunther, D. J. Stone, R. W. Gerwien, P. Bento, M. P. Heyes, Prediction of clinical drug efficacy by classification of drug-induced genomic expression profiles in vitro. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 100, 9608-9613 (2003).

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