薬理学:痛みの緩和

PHARMACOLOGY:
Easing the Pain

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2003, Issue 199, pp. tw342, 9 September 2003.
[DOI: 10.1126/stke.2003.199.tw342]

要約 : 神経系の損傷によって引き起こされる、神経障害性疼痛の治療に現在用いられている薬物は、一般的に眠気やめまいなどの副作用を生じさせる。したがって、薬物を中枢神経系(CNS)以外の標的に向けることにより、この種の問題を回避できる可能性がある。Ibrahimらは、CB2カンナビノイド受容体を選択的アゴニストによって活性化することが、既存の方法に代わる治療法となる可能性があると提案している。CB2受容体はCNSには存在せず、主にマスト細胞および免疫細胞に発現する。AM1241と呼ばれるアミノアルキルインドールは、選択的なCB2アゴニストであることが明らかになった。その薬物を投与すると、神経障害性疼痛ラットモデルに観察された知覚過敏性は回復した。本ラットモデルでは、脊髄神経の結紮により、触覚刺激および熱刺激に対する感受性が増加したが、これらの刺激は、一次求心ニューロンの損傷や疾患によって生じる、ヒト神経障害性疼痛の2つの特徴である。CB1受容体を欠損するマウスにおいても、AM1241は依然として痛みを遮断できたことから、CB2受容体を介する作用の特異性が示された。著者らは、AM1241が、一次求心ニューロンを感作するメディエータを通常放出するマスト細胞および免疫細胞に対して、抗炎症作用を及ぼす可能性がある、と提案している。

M. M. Ibrahim, H. Deng, A. Zvonok, D. A. Cockayne, J. Kwan, H. P. Mata, T. W. Vanderah, J. Laai, F. Porreca, A. Makriyannis, T. P. Malan Jr., Activation of CB2 cannabinoid receptors by AM1241 inhibits experimental neuropathic pain: Pain inhibition by receptors not present in the CNS. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 100, 10529-10533 (2003).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

バックナンバー一覧へ