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カルシウム:ミトコンドリア単輸送体の同定

CALCIUM:
Mitochondrial Uniporter Identified

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2004, Issue 217, pp. tw29, 27 January 2004.
[DOI: 10.1126/stke.2172004TW29]

要約 : Kirichokらは、新しいカルシウム(Ca2+)選択性イオンチャネルを、これまで明らかにされていなかったミトコンドリアCa2+単輸送体として同定した。ミトコンドリアへのCa2+の蓄積は、細胞内Ca2+シグナルの形成やエネルギー産生の制御を行い、細胞死に関与すると考えられている。しかし、この取り込みを可能にするミトコンドリアCa2+単輸送体の性質は、依然不明であった。Kirichokらは、COS-7細胞由来の「マイトプラスト」(ミトコンドリア内膜由来の小胞)でパッチクランプを行い、ミトコンドリアCa2+単輸送体と同様に、マイトプラスト全体の内向き整流性Ca2+電流が、ルテニウム360およびルテニウムレッドによって阻害されることを測定した。著者らがIMiCaと名付けたこの電流はまた、ミトコンドリアCa2+単輸送体と同様のカチオン選択性、ならびに二価カチオン透過性の序列を示していた。単一のMiCaチャネルの挙動をインサイドアウトマイトプラストでのパッチからの記録により解析したところ、巨視的なIMiCaの性質が説明できた。MiCaは電圧依存性で、Ca2+に対する選択性が高く、ミトコンドリアのCa2+取り込みを説明する上で十分な量のCa2+電流を運んでいた。以上より、著者らは、MiCaチャネルはミトコンドリアCa2+単輸送体として機能しているとの結論に達した。

Y. Kirichok, G. Krapivinsky, D. E. Clapham, The mitochondrial calcium uniporter is a highly selective ion channel. Nature 427, 360-364 (2004).

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