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分化 来るべき世界(物の形)

DIFFERENTIATION:
The Shape of Things to Come

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2004, Issue 229, pp. tw140, 20 April 2004.
[DOI: 10.1126/stke.2292004TW140]

要約 : in vitroで培養した成人由来間葉幹細胞(hMSC)は、増殖因子への曝露および培養時の細胞密度に応じて、脂肪細胞や軟骨細胞、骨芽細胞に分化できる。増殖因子が分化に影響する経路は広く研究されているが、密度(細胞形態、増殖、他の細胞との接触、パラクリン分泌への曝露に影響する)が細胞運命を左右する機構についてはあまり知られていない。細胞形態の影響を特異的に調べるため、McBeathらはhMSCを一個ずつ、それらの細胞が接着できない領域で囲んだ接着基質の「島」に蒔いた。小さな島で培養した細胞(強制的に球状のままでいる)は脂肪細胞のマーカーを発現したのに対して、大きな島で培養した細胞(扁平化する)は骨芽細胞のマーカーを発現した。「骨形成条件」下で培養した細胞(低密度で適切な培地)は扁平で、低分子量グアノシン三リン酸フォスファターゼであるRhoAの活性の増加を示した。RhoエフェクターであるROCK(Rhoキナーゼ)を阻害して、細胞を球状化することなく細胞骨格の張力を阻害したところ、扁平細胞における骨形成が阻害された。恒常的活性化型RhoAを発現している未分化のhMSCは球状化して骨芽細胞に分化したのに対して、ドミナントネガティブなRhoAを発現している細胞は扁平化して脂肪細胞に分化し、いずれの場合にも、培地における可溶性因子の影響に打ち勝っていた。ところが、恒常的活性化型RhoAは、小さな島で培養した球状細胞で発現した場合骨形成を促進しなかったのに対して、恒常的活性化型ROCKは骨形成を促進した。以上より、細胞形態、RhoA、ROCKはすべて、hMSCの運命の決定において重要な役割を担っており、RhoAは可溶性分化因子の下流で作用し、ROCKは細胞形態が介するシグナル伝達の下流でも作用しているようである。

R. McBeath, D. M. Pirone, C. M. Nelson, K. Bhadriraju, C. S. Chen, Cell shape, cytoskeletal tension, and RhoA regulate stem cell lineage commitment. Devel. Cell 6, 483-495 (2004).

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