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受容体 1つの受容体から2つのシグナル

RECEPTORS:
Two Signals from the Same Receptor

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2004, Issue 235, pp. tw192, 1 June 2004.
[DOI: 10.1126/stke.2352004TW192]

要約 : なぜ一部の受容体には内因性リガンドが2種類以上存在するのかという疑問を解明するため、Kohoutらは、CCケモカイン受容体7(CCR7)によるシグナル伝達の特性を明らかにした。CCR7は、リンパ節へのリンパ球遊走を指示するいくつかの細胞内事象の指令において機能する。CCR7には2種類の内因性リガンドが存在する。1つはCCL21で、これは高内皮細静脈(そこを通ってリンパ球が血液を離れリンパ節に入るように特化した血管)にみられる。もう1つはCCL19で、これはリンパ節のT細胞域(T細胞がB細胞とは分かれて集合している部位)に存在する。CCR7はGタンパク質共役型受容体であり、このような受容体は通常、脱感作を受ける。すなわち、リガンドへの初回の曝露後、受容体はさらなるGタンパク質活性化とは共役しない。Kohoutらは、ヒトT細胞リンパ腫細胞株H9由来の細胞をCCL19で処理し、単離された膜中のCCR7分子がCCL19またはCCL21によるさらなる刺激に対して脱感作されていることを見出した。しかしCCL21は、CCR7を介したGタンパク質シグナル伝達の活性化においてはCCL19と同等の活性を示すにもかかわらず、受容体脱感作を引き起こさなかった。CCR7およびβ-アレスチン2のタグ付加体を過剰発現しているヒト胚性腎293細胞の研究で、著者らは、CCL21はβ-アレスチン2を受容体複合体と会合させることもできず、また、MAPキナーゼERK1およびERK2の活性化に対する作用がCCL19よりも弱いことを示した。したがってCCR7は、CCL19およびCCL21と結合する際にそれぞれ異なったコンホメーションをとっていると考えられる。いずれの状態の受容体もGタンパク質シグナル伝達を活性化することができるが、β-アレスチンの会合、そしてその結果生じる脱感作やERKを介したシグナル伝達は、主にCCL19を含有する複合体によって引き起こされている。これは、1つの受容体を介した2種類のリガンドによる異なった細胞応答の仲介を可能にするはずであり、また、そのような受容体への選択性の高い治療薬を開発するための有用な特性となりうる。

T. A. Kohout, S. L. Nicholas, S. J. Perry, G. Reinhart, S. Junger, R. S. Struthers, Differential desensitization, receptor phosphorylation, s-arrestin recruitment, and ERK1/2 activation by the two endogenous ligands for the CC chemokine receptor 7. J. Biol. Chem. 279, 23214-23222 (2004).

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