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遺伝子発現 ErbB4がSTAT5を核へと誘導する

GENE EXPRESSION:
ErbB4 Escorts STAT5 to the Nucleus

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Sci. STKE, Vol. 2004, Issue 259, pp. tw410, 16 November 2004.
[DOI: 10.1126/stke.2592004tw410]

要約 : ErbB4は、上皮成長因子受容体(EGFR)ファミリーに属する受容体チロシンキナーゼの一つである。一方、ErbB4は膜上でのタンパク質切断によって,細胞内(4ICD)フラグメントおよび細胞外フラグメントを放出するシグナル伝達メカニズムを有するようである。Williamsらは、この4ICDフラグメントには機能性の核移行シグナルおよび核外移行シグナルが含まれており、STAT5(STATファミリーの転写因子)の核シャペロンとしての機能を持つようであると報告している。ErbB4のリガンドであるヘレグリン(Hrg)は、STAT5が関与する経路を介して、泌乳期の乳房の乳タンパク質産生を促進する。Williamsらは、タグを付加した野生型のErbB4または4ICDの核移行シグナル(NLS)が変異したErbB4をトランスフェクトした細胞について調べ、Hrgは野生型のErbB4を発現している細胞のみでSTAT5の核蓄積を亢進させることを示した。さらに、STAT5が制御するβカゼイン遺伝子のレポーター遺伝子活性をHrgが亢進するためにも、ErbB4中の機能性のNLSが必要であった。in vivoでは、T47乳癌細胞を用いたクロマチン免疫沈降法により、Hrgに応答して,β-カゼインプロモーター上でSTAT5と4ICDが相互作用することが示された。以上より、ErbB4は、膜近傍の切断が関与する新規のシグナル伝達経路を利用し、泌乳期の乳房においてSTAT5の核シャペロンを産生するようである。

C. C. Williams, J. G. Allison, G. A. Vidal, M. E. Burrow, B. S. Beckman, L. Marrero, F. E. Jones, The ERBB4/HER4 receptor tyrosine kinase regulates gene expression by functioning as a STAT5A nuclear chaperone. J. Cell. Biol. 167, 469-478 (2004). [Abstract] [Full Text]

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