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ウイルス ERKとウイルス種の壁

VIROLOGY:
ERK and the Viral Species Barrier

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2004, Issue 261, pp. tw428,30 November 2004.
[DOI: 10.1126/stke.2612004tw428]

要約 : 一般に、ポックスウイルスは特定の種に限定される(Vileek参照)。Wangらは、ウサギポックスウイルスの粘液腫ウイルス感染に対するマウス細胞の感受性を阻止するためには、細胞外シグナル制御キナーゼ1および2(ERK1/2)が必要であることを示している。初代培養マウス胚性線維芽細胞(MEF)を、ERKを活性化するキナーゼの阻害剤(U0126)で処理したところ、MEFは粘液腫ウイルス感染に対して感受性を示すようになった。また、ERK1/2をアンチセンスオリゴヌクレオチドでノックダウンするか、I型インターフェロン(IFN-α/β)に対する抗体を適用したところ、MEFにおける粘液腫ウイルスの複製は増加した。さらに、IFN受容体(IFNaR)あるいはSTAT1(抗ウイルス応答に関与する転写因子)のいずれかを欠損したMEFにおいても、粘液腫ウイルスの複製は増加していた。すなわち、ERKのシグナル伝達は、I型IFNの産生を亢進するとともに、STATシグナル伝達を活性化して抗ウイルス状態を亢進させるようであった。粘液腫ウイルスは、ERK1/2のリン酸化の増加、IFN-αおよびIFN-βの転写の増加、I型IFNの分泌を引き起こしたが、これらの応答はU0126により阻害された。I型IFNをコードする遺伝子の発現には転写因子IRF3の活性化が関与し、遅れて発現するIFN-αのサブタイプには、IRF7が関与している。粘液腫ウイルス感染は、IRF3のリン酸化および核移行を促進し、U0126により阻害される経路を介してIRF7のmRNAの蓄積を誘導した。また、この抗ウイルス状態には、粘液腫ウイルス感染により亢進され、U0126により阻害される真核生物翻訳開始因子2α(eIF2α)のリン酸化を介する翻訳の阻害も関与していた。驚くべきことに、このeIF2αのリン酸化はプロテインキナーゼR(PKR)を必要としなかったが、STAT1を必要としていた。粘液腫ウイルス保護におけるSTAT1の必要性は、マウスにおいて検証されており、Stat1-/-マウスは感染に対する感受性が高く、数日以内に死亡した。ウイルスに曝露されると、ERKはIFNの産生を引き起こし、STAT1の活性化および翻訳の阻害を介して抗ウイルス状態を構築する経路に関与することを以上の結果は示している。

J. Vil ek, Why are rabbits uniquely sensitive to myxoma virus? Cherchez l'interferon! Nat. Immunol. 5, 1205-1206 (2004). [Online Journal]

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