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代謝 脂質代謝異常への経路

METABOLISM:
The Pathway to Dyslipidemia

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2005, Issue 269, pp. tw42, 1 February 2005.
[DOI: 10.1126/stke.2692005tw42]

要約 : 飽和脂肪を多く含む食事が、アテローム性動脈硬化を招く可能性がある脂質代謝の変化を引き起こすことは間違いない。しかし、このプロセスを制御するメカニズムはあまり理解されていない。そこで、Linらは、飽和脂肪を多量に含む食餌を与えたマウスにおける遺伝子発現の変化を解明しようと試みた。遺伝子発現アレイ解析により、肝臓において主要な脂質代謝制御因子の発現が増加していることが明らかになった。こうした因子のひとつはSREBP(ステロール調節エレメント結合タンパク質)であり、もうひとつは転写コアクチベーターであるPGC-1βであった。著者らは、トランスフェクトした肝癌細胞において、PGC-1βがSREBP応答遺伝子の発現を亢進することを示した。PGC-1βは、クロマチン免疫沈降法でも、内因性SREBP標的遺伝子のプロモーターに検出された。ラット肝臓でPGC-1βのアデノウイルス発現を行ったところ、脂質代謝の制御に関与する多くの遺伝子の発現が促進された。SREBPのドミナントネガティブ変異体では、PGC-1βのこうした作用が低下したことから、SREBPはこれらの作用に必要なようであった。PGC-1βの生理学的作用は肝臓X受容体(LXR)の作用と類似しており、PGC-1βはLXR結合部位を有するレポーター遺伝子のリガンド依存性の発現を亢進した。培養細胞では、PGC-1βに対するRNAiを用いたところ、脂質合成を制御する遺伝子の発現が減少した。in vivoでは、マウスに対してPGC-1βに対するRNAiを実施したところ、高脂肪食餌を与えたマウスの肝臓において主要な脂質合成酵素の発現が減少した。以上より、PGC-1βの発現の増加は、脂質代謝に対する高脂肪食餌の影響を媒介するうえで重要なようである。したがって、PGC-1βは、飽和脂肪を多く含む食品の摂り過ぎによる死亡を減らす有効な治療法をもたらすかもしれないと、著者らは述べている。

J. Lin, R. Yang, P. T. Tarr, P.-H. Wu, C. Handschin, S. Li, W. Yang, L. Pei, M. Uldry, P. Tontonoz, C. B. Newgard, B. M. Spiegelman, Hyperlipidemic effects of dietary saturated fats mediated through PGC-1s coactivation of SREBP. Cell 120, 261-273 (2005). [PubMed]

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