低酸素 酸素を追跡する

HYPOXIA:
Keeping Track of Oxygen

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2005, Issue 277, pp. tw114, 29 March 2005.
[DOI: 10.1126/stke.2772005tw114]

要約 : 哺乳動物においてコレステロールおよび脂肪酸の合成に関与する遺伝子の転写を活性化する小胞体(ER)膜結合型転写因子のファミリーであるステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)は、フィードバック阻害により調節される。SREBPは、ゴルジ体においてタンパク分解による切断を介して活性化される。高濃度のステロールは、SREBPとその結合相手であるSREBP切断活性化タンパク質(SCAP)がERタンパク質Insigと複合体を形成するのを促進し、SREBP-SCAPをERに捕捉する。Hughesらは、DNA結合ドメインにおいてヒトSREBP-1aと59%の配列同一性を有し、全体的なトポロジーが類似した、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)の遺伝子(sre1+)を同定した。また、彼らは、SCAP(scp1+)およびInsig-1(ins1+)の酵母ホモログも同定した。ステロールの合成を薬理学的に阻害したところ、酵母のSre1はScp1と複合体を形成し、タンパク分解を受けた。ステロールを欠乏した条件で培養した野生型酵母およびscp1を欠損させた酵母から分離したmRNAをマイクロアレイ解析したところ、Sre1は、ステロールの生合成に関与する遺伝子の転写だけでなく、好気性増殖から嫌気性増殖への移行に必要な遺伝子の転写も促進することが示された。sre1またはscp1を欠損させた酵母は、酸素の非存在下では増殖できなかった。また、低酸素は、野生型細胞におけるSre1の切断を促進し、その標的遺伝子の発現を活性化した。低酸素に移行すると、エルゴステロールの合成は減少した。その数時間後には、野生型細胞は適応してエルゴステロールの合成を増加させることができたのに対し、sre1を欠損させた細胞は適応・増加できなかった。以上より、Sre1は、酸素依存性のステロール合成を介して酸素供給量を監視し、酵母だけでなく哺乳類においても低酸素への応答に関与するのではないかと著者らは提案している。

A. L. Hughes, B. L. Todd, P. J. Espenshade, SREBP pathway responds to sterols and functions as an oxygen sensor in fission yeast. Cell 120, 831-842 (2005). [Online Journal]

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る