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抗うつ薬 セロトニンは回り道をする

ANTIDEPRESSANTS:
Serotonin Takes a Detour

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2005, Issue 279, pp. tw131, 12 April 2005.
[DOI: 10.1126/stke.2792005tw131]

要約 : 哺乳類の脳の線条体は認知・適応行動を制御し、ドーパミン(DA)およびセロトニン(5-HT)を分泌するニューロンにより神経支配される。これらの神経伝達物質の作用は、各ニューロンが発現する特異的な再取り込みをするトランスポーターにより制御される。通常の条件では、分泌された5-HTはセロトニントランスポーター(SERT)により再び取り込まれ、神経伝達物質の細胞外濃度は低く保たれる。フルオキセチンなどの選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、細胞外5-HT濃度を持続、上昇させる有効な抗うつ薬である。その一方で、Zhouらは、線条体のDAトランスポーター(DAT)も5-HTをドーパミン神経終末に再び取り込ませ、5-HTのシグナル伝達動態に影響を及ぼすと報告している。さらに、その後5-HTおよびDAはDAニューロンからともに放出され、5-HTおよびDAのシグナル伝達を同時に誘導している可能性がある。マウス線条体切片におけるDAおよび5-HTの放出を調べた免疫染色および電気化学的解析により、外来性の5-HTで処理すると、5-HTはDA神経終末に取り込まれることが示された。ところが、薬物阻害剤でDATを遮断すると、この再取り込みは阻止された。また、サイクリックボルタメトリーを線条体切片に適用し、電気刺激により誘発されるDAおよび5-HTの放出の違いを測定した。電気化学的解析により、これらの神経伝達物質は、DAニューロンにより活動電位依存的に同時に小胞へと放出されることが示唆された。SSRIであるフルオキセチンがDAニューロンからの5-HTおよびDAの同時放出を促進できる能力は、DAT遮断時には阻害されていることから、DATによりDAニューロンに5-HTが蓄積されることも示唆された。以上より、行動出力に対する抗うつ薬と5-HTおよびDAのシグナル伝達動態の効果は、この輸送経路により変化するかもしれない。

F.-M. Zhou, Y. Liang, R. Salas, L. Zhang, M. De Biasi, J. A. Dani, Corelease of dopamine and serotonin from striatal dopamine terminals. Neuron 46, 65-74 (2005). [PubMed]

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