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STAT Stat3の細胞質における役割

STATS :
A Cytoplasmic Role for Stat3

Editor's Choice

Sci. STKE,Vol. 2006, Issue 319, pp. tw30, 24 January 2006.
[DOI: 10.1126/stke.3192006tw30]

要約 : 細胞質タンパク質であるシグナル伝達性転写因子(STAT)ファミリーは、核内に移行して遺伝子発現を活性化する。Stat3はがん遺伝子として同定されてたが、細胞の増殖や生存を調節するだけでなく、細胞移動にも関与する。しかし、Stat3の細胞移動に対する作用に関与する標的遺伝子は見つかっていない。Ngらは、Stat3結合タンパク質の酵母ツーハイブリッド(two-hybrid)スクリーニングにおいて、スタスミン(微小管を不安定化する)を含むチューブリン結合タンパク質ファミリーのメンバーであるSCLIPを同定した。in vitro結合法だけでなく免疫沈降法においても、スタスミンがPC12細胞の内因性Stat3と会合することを明らかにした。インターロイキン-6に応答するStat3の核内移行および標的遺伝子レポーターの転写活性化は、mycタグを付加したスタスミンの過剰発現やsiRNAによるスタスミンのノックダウンによっては影響を受けなかった。しかし、Stat3を欠損するマウス胚線維芽細胞(MEF)は、微小管ネットワークの乱れやアセチル化チューブリン(微小管の安定性に関連する)の細胞含有量の減少、チューブリン重合の低下、細胞移動の障害を示した。Stat3は微小管のアセチル化やチューブリンの重合を回復させるが、この効果は転写活性化能を欠損するStat3変異体でも同様であった。変異解析により、Stat3はチューブリンと結合するスタスミンの領域に結合することが示され、in vitro解析によりStat3はスタスミンのチューブリン重合阻害能に拮抗することが明らかになった。Stat3が発現すると、スタスミンの過剰発現による微小管脱重合に対する影響が減少したのに対して、siRNAを用いてスタスミンをノックダウンすると、チューブリンの重合が増加し、Stat3を欠損するMEFの細胞移動が部分的に回復した。以上より、Stat3は核内移行して遺伝子転写を活性化する能力と独立に、細胞質におけるスタスミンとの相互作用を介して、微小管の動態および細胞移動を調節するようである。

D. C. H. Ng, B. H. Lin, C. P. Lim, G. Huang, T. Zhang, V. Poli, X. Cao, Stat3 regulates microtubules by antagonizing the depolymerization activity of stathmin. J. Cell Biol. 172, 245-257 (2006). [Abstract] [Full Text]

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