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癌 mdm2-p53の相互作用を狙う

CANCER:
Targeting the mdm2-p53 Interaction

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2006, Issue 322, pp. tw56, 14 February 2006.
[DOI: 10.1126/stke.3222006tw56 ]

要約 : nutlinは、がん抑制因子p53とp53の分解を促進するE3ユビキチンリガーゼmdm2との相互作用を阻害するシスイミダゾリン化合物である。Tovarらは、野生型のp53を持つ10種類の異なるがん細胞株において、nutlin-3aが細胞周期の停止を誘導することを示している。ところが、異なる細胞株におけるnutlin-3aのアポトーシス誘導能は異なっていた。p53依存性経路およびp53非依存性経路を活性化するDNA損傷は、低、中、高アポトーシス群の代表的な細胞株においてアポトーシスを誘導したことから、nutlin-3aにより誘導されるアポトーシス感受性の違いは、p53依存性アポトーシス経路の欠損によるものであることが示された。nutlin-3a誘導アポトーシスに対して最も感受性が高いのは、約25倍のmdm2遺伝子増幅を持つ骨肉腫細胞株SJSA-1であった。mdm2増幅が原因であることを検証するため、別の2つの骨肉腫細胞株(約10倍のmdm2遺伝子増幅を持つMHMと、mdm2遺伝子を1コピーだけ持つU2OS)ついて解析した。これら3つの骨肉腫細胞株は、いずれもnutlin-3aに曝露すると細胞周期の停止を示した。一方、アポトーシス誘導に対する感受性はmdm2遺伝子型と相関し、U2OS細胞はnutlin-3a誘導アポトーシスに対する抵抗性を示した。マイクロアレイ解析を用いて、増幅mdm2を持つnutlin-3a処理細胞の転写プロファイルと、mdm2をひとつだけ持つ細胞の転写プロファイルとを比較した。違いのひとつは、pumaやnoxa、baxなどのアポトーシス促進遺伝子が、mdm2増幅を持つ細胞ではnutlin-3a処理に応答してより強力に活性化されたことであった。さらに、nutlin-3aはMHMおよびSJSA-1腫瘍を持つヌードマウスにおいて腫瘍の退縮を引き起こし、正常なmdm2およびp53を持つ腫瘍の成長を停止させた。以上の結果は、(i)nutlinが特にmdm2増幅を持つ腫瘍に対して臨床上有効で、(ii)正常なp53を持つがん細胞はp53アポトーシス経路の欠損を有するという可能性を示唆しており、nutlinはこれらの下流の欠損を識別できる有用な手段であるかもしれない。

C. Tovar, J. Rosinski, Z. Filipovic, B. Higgins, K. Kolinsky, H. Hilton, X. Zhao, B. T. Vu, W. Qing, K. Packman, O. Myklebost, D. C. Heimbrook, L. T. Vassilev, Small-molecule MDM2 antagonists reveal aberrant p53 signaling in cancer: Implications for therapy.Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 103, 1888-1893 (2006). [Abstract] [Full Text]

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