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細胞生物学 シグナルを伝達する繊毛の構造

CELL BIOLOGY:
Signaling Cilia Structures

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2006, Issue 334, pp. tw153, 9 May 2006.
[DOI: 10.1126/stke.3342006tw153]

要約 : 繊毛とは主に運動性の付与に特化した構造であると考えるかもしれないが、非運動性の細胞(ほとんどすべての脊椎動物の細胞は一次繊毛を持つ)も感覚機能に繊毛を用いている。繊毛の表面に濃縮された受容体によって細胞は周辺環境を効率良く検知することができるが、このような受容体が、細胞膜において通常はそれらと会合している構造がない状況下でどのように機能するかのは分かっていない。Wangらは、双鞭毛藻類のクラミドモナス(Chlamydomonas)においてこの問題に取り組んだ。これらの細胞は、接合時に鞭毛(鞭毛は繊毛と基本的に同じである)上にある性特異的な接着受容体を用いる。この系において、著者らは鞭毛内輸送(IFT)系において機能する不可欠なモータータンパク質であるキネシン2の温度感受性変異を利用することができた。IFTは、微小管に沿って粒子を移動させるキネシンおよびダイニンを用いて、細胞体から鞭毛へと物質を活発に輸送する。接合中のクラミドモナス細胞の鞭毛の相互作用は、タンパク質チロシンキナーゼの活性化を引き起こす。Wangらは免疫精製法と質量分析法を用いて、チロシンキナーゼの標的としてサイクリックGMP(サイクリックグアノシン一リン酸)依存性プロテインキナーゼ(CrPKG)を同定した。鞭毛は細胞の体積の約5%を占めるが、CrPKGのおよそ50%を含んでいた。CrPKGは鞭毛接着により活性化され、CrPKGをRNAiにより欠乏させることによって、受精がうまく行くためにはこのキナーゼが必要であることが示された。遠心分離による分画により、CrPKGは鞭毛接着後に新たな粒子状コンパートメントに会合するようになるが、この作用には機能的IFTが必要であることが示された。また、著者らは抗体を用いて接着前後のIFT装置の成分を観察し、さらに分画することにより、IFT構成成分が細胞抽出物由来の粒子状画分においてCrPKGとともに界面活性剤感受性複合体と会合することを示した。IFT構成成分のシグナル依存性修飾およびIFT構成成分とCrPKGとの会合が同様の挙動を示すことを考慮し、IFTが細胞体から鞭毛へとシグナル伝達成分を移動させる機能を持つだけでなく、シグナル伝達にも積極的に関与するのではないかと著者らは提案している。

Q. Wang, J. Pan, W. J. Snell, Intraflagellar transport particles participate directly in cilium-generated signaling in Chlamydomonas. Cell 125, 549-562 (2006). [Online Journal]

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