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細胞生物学 軸策誘導因子が増殖と血管新生を制御する

CELL BIOLOGY:
Axon Guiders Control Proliferation and Angiogenesis

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2006, Issue 340, pp. tw203, 20 June 2006.
[DOI: 10.1126/stke.3402006tw203]

要約 : 今週の2本の報告は、もともとは軸策ガイダンス(誘導)および細胞移動に関連するシグナル伝達タンパク質の機能を拡張するものである。Holmbergらは、エフリンとその受容体であるEphBタンパク質の腸上皮幹細胞の制御における役割について研究した。これらの幹細胞は、腸上皮に形成される襞または陰窩において、秩序だって空間的に制限された発生を行う。エフリンとそのEphB受容体タンパク質は、細胞の陰窩外への遊走を制御する。しかしHolmbergらは、細胞増殖の制御(これらの調節因子が原因であるとはこれまでは考えられていなかった効果)におけるさらなる役割について探った。実際に、受容体タンパク質EphB2およびEphB3を欠損する変異動物は、大腸陰窩の増殖細胞が対照動物に比べて約50%少ないことを著者らは突き止めた。エフリンのクラスター形成およびシグナル伝達を阻害する薬剤を用いてエフリンシグナル伝達を急激に破壊したところ、陰窩の増殖細胞数が同様に減少し、培養外植片においてEphB2を過剰発現させたところ、幹細胞増殖が亢進した。エフリンとその受容体の効果はこのように複雑であり、増殖と細胞移動に対する効果を区別するのは難しいと考えられる。事実、EphBタンパク質は腺腫におけるがん抑制因子であると考えられているが、Holmbergらは、EphBシグナル伝達の喪失によって腺腫の増殖細胞数が減少することを示している。これらのことから、著者らは、がん抑制機能は増殖の抑制ではなく、むしろ浸潤の制限により仲介される可能性が高いのではないかと述べている。
ところが、Basileらの新しい結果を考慮すると、この結論は単純化し過ぎとも考えられる。同著者らは、セマフォリン4D(Sema4D)(その受容体プレキシンB1とともに作用して軸策成長を調節する別の分子)をコードする遺伝子が、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)だけでなく、前立腺癌、大腸癌、乳癌、肺癌においても選択的に過剰発現することを見いだした。培養すると、HNSCC細胞は可溶性Sema4D分子を切り取って放出し、同じ培養器中に存在する内皮細胞の誘引を引き起こした。著者らがRNA干渉を用いて培養HNSCC細胞におけるSema4Dの発現を制限すると、内皮細胞に対する走化性効果が遮断された。同様に、免疫不全マウスに異種移植する前にHNSCC細胞においてshRNAを発現させてSema4Dの発現を制限したところ、結果的に生じる腫瘍のサイズおよび関連する血管新生の量が減少した。これらのことから、クラスIII型セマフォリンはエフリンと同様にがん抑制因子であると考えられているが、Sema4Dは血管新生を促進するようであり、したがって特定の悪性腫瘍に対する抗がん治療の標的となる可能性がある。

J. Holmberg, M. Genander, M. M. Halford, C. Anneren, M. Sondell, M. J. Chumley, R. E. Silvany, M. Henkemeyer, J. Frisen, EphB receptors coordinate migration and proliferation in the intestinal stem cell niche. Cell 125, 1151-1163 (2006). [Online Journal]

J. R. Basile, R. M. Castilho, V. P. Williams, J. S. Gutkind, Semaphorin 4D provides a link between axon guidance processes and tumor-induced angiogenesis. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 103, 9017-9022 (2006). [Abstract] [Full Text]

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