• ホーム
  • 極性 微小管でPIP3を移動させる

極性 微小管でPIP3を移動させる

POLARITY:
Moving PIP3 on Microtubules

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2006, Issue 347, pp. tw264, 8 August 2006.
[DOI: 10.1126/stke.3472006tw264]

要約 : ホスファチジルイノシトール3‐キナーゼ(PI3K)の産物であるホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸(PIP3)は、細胞極性の確立に寄与する。Horiguchiらは、PIP3は原形質膜におけるPI3Kの局所的活性化により産生されるだけでなく、細胞内膜でも産生され、微小管のPIP3含有小胞により、ニューロン突起の成長する先端へと輸送される可能性があるという証拠を提供している。まず、Horiguchiらは、GAKIN(グアニル酸キナーゼ会合キネシン、KIF13Bとしても知られる)が、GAKIN FHAドメインを介してPIP3結合タンパク質(PIP3BP、センタウリン‐αとしても知られる)と相互作用することを突き止めた。In vitroのGAKINおよびPIP3BPは、微小管のPIP3リポソームの移動を仲介した。PC12(褐色細胞腫12)細胞と培養海馬ニューロン、タグ付加したGAKIN、タグ付加したPIP3BP、PIP3のマーカーは、神経突起の先端に同時局在化した。海馬細胞では、これらの3つの分子は、最も長い神経突起である軸索で最も豊富であった。PC12細胞において(モータードメインを欠失させた)GAKINのドミナントネガティブ体を過剰発現させたところ、神経突起先端におけるPIP3の含有量は低下した。海馬ニューロンにおいて、野生型GAKINまたはドミナントネガティブ型GAKINを過剰発現させたところ、形態学的に異なる軸索‐樹状突起構造の形成が破壊され、複数の高度に分岐した神経突起を持つ細胞を生じた。内部移行した受容体などの細胞内膜において産生されるPIP3や、細胞体において産生されるPIP3は、微小管から成長円錐への輸送を介して細胞極性に寄与する可能性があると、著者らは述べている。

K. Horiguchi, T. Hanada, Y. Fukui, A. H. Chishti, Transport of PIP3 by GAKIN, a kinesin-3 family protein, regulates neuronal cell polarity. J. Cell Biol. 174, 425-436 (2006). [Abstract] [Full Text]

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

バックナンバー一覧へ