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生化学 アセチル化により阻害されるPTEN

BIOCHEMISTRY:
PTEN Inhibited by Acetylation

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2006, Issue 352, pp. tw310, 12 September 2006.
[DOI: 10.1126/stke.3522006tw310]

要約 : PTENは、脂質およびタンパク質に対するホスファターゼであり、ホスファチジルイノシトール3,4,5‐トリスリン酸を脱リン酸化することにより、Aktキナーゼを活性化するホスホイノシチド3‐キナーゼ経路を介するシグナル伝達を低下させる。PTENと相互作用するタンパク質のスクリーニングにおいて、OkumuraらはヒストンアセチルトランスフェラーゼPCAF(p300/CBP会合因子)を同定し、この相互作用を293T細胞の内因性タンパク質の共免疫沈降により確認した。PTENのほとんどはサイトゾルに存在するが、タグ付加したPTENおよびPCAFをトランスフェクトした細胞のデコンボリューション顕微鏡で観察することにより、同時発現させると、PTENの一部はPCAFの局在部位である核に存在することが示された。PCAFと相互作用できないPTEN変異体は、タグ付加したPCAFと同時発現しても核には見られなかった。アセチル化リジン残基を認識する抗体を用いることによりアセチル化された内在性PTENが検出され、ヒストン脱アセチル化酵素を薬理学的に阻害したりPCAFを過剰発現させたりすると、PTENのアセチル化が増加した。PCAFはin vitroアッセイにおいてPTENを直接アセチル化し、このアセチル化はPTENのリジン125と128が変異すると阻害された。in vitroアッセイにおいて、PTENのアセチル化によりその脂質ホスファターゼ活性が阻害された。Aktのリン酸化はPTENとPCAFを同時発現する細胞において増加したが、この増加はPTENアセチル化を模倣する変異体を用いると観察されなかった。PTENまたはPTEN変異体をPCAF存在下または非存在下で発現するPten-/-マウス胚線維芽細胞により、PTENの発現により細胞周期のG1期での停止を引き起こすことが示され、PTENのPCAFによるアセチル化はこの細胞周期停止を緩和することが示唆された。増殖因子や血清はPTENとPCAFとの相互作用を亢進させ、アセチル化PTENの含有量を増大させたことから、PTENのPCAFによるアセチル化はPTEN活性を制御する動的な調節機構であると考えられる。ヒストンアセチル化酵素の発現は一般にがん細胞で上昇するので、PTENのアセチル化により、これらの酵素が細胞周期の正常な制御の無効化に寄与するメカニズムとなっている可能性がある。

K. Okumura, M. Mendoza, R. M. Bachoo, R. A. DePinho, W. K. Cavenee, F. B. Furnari, PCAF modulates PTEN activity. J. Biol. Chem. 281, 26562-26568 (2006). [Abstract] [Full Text]

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