核へ導くチャネル

Channels Channel to the Nucleus?

Editor's Choice

Sci. STKE, 7 November 2006 Vol. 2006, Issue 360, p. tw376
[DOI: 10.1126/stke.3602006tw376]

Elizabeth M. Adler

Science's STKE, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : Gomez-Ospinaらは、電位依存性カルシウムチャネルが遺伝子の転写を制御する興味深いメカニズムの証拠を提示している。細胞膜の電位開口型チャネルを介するカルシウム流入により、電気活性と遺伝子発現変化とのつながりが生じる。Gomez-Ospinaらは、完全長Cav1.2カルシウムチャネルを認識する抗体がラット大脳皮質の膜画分とサイトゾル画分に局在するのに対し、タンパク分解により切断されるC末端断片を認識する抗体は核に存在することを突き止めた。C末端断片は、GABA作動性ニューロンの核に豊富に存在する。さらに、Cav1.2C末端が蛍光標識されたコンストラクトを発現するニューロンやグリア芽細胞腫では、核の蛍光が明らかであった。細胞質カルシウムの低下を目的とした処理は、Cav1.2断片の核内含有量を増加させたのに対し、細胞内カルシウムを増加させる処理は、Cav1.2断片の核内含有量を低下させた。Cav1.2断片は、核タンパク質であるp54(nrb)/NonOとともに免疫沈降し、異種DNA結合ドメインを持つプロモーターに会合させると、遺伝子レポーターを転写活性化した。著者らがカルシウムチャネル会合転写調節因子(CCAT)と名付けた断片の過剰発現は、いくつかの内因性遺伝子の発現を上昇させ、他の内因性遺伝子の発現を低下させた。CCAT過剰発現は、ギャップ結合タンパク質Cx31.1をコードするmRNAの含有量を増加させ、Cx31.1プロモーターを含むレポーターを転写活性化した。クロマチン免疫沈降分析によって、CCATはCx31.1プロモーターと会合することが示された。さらに、脱分極または低分子ヘアピン型RNAによる内因性核内CCATの含有量の低下は、Cx31.1レポーターの転写の減少をもたらした。以上より、タンパク分解により切断されたCav1.2のC末端は、核内に移行して転写因子として働くと著者らは結論づけている。

N. Gomez-Ospina, F. Tsuruta, O. Barreto-Chang, L. Hu, R. Dolmetsch, The C terminus of the L-type voltage-gated calcium channel Cav1.2 encodes a transcription factor. Cell 127, 591-606 (2006). [PubMed]

E. M. Adler, Channel to the Nucleus? Sci. STKE 2006, tw376 (2006).

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