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微生物学
微生物の剣は実際には鋤の刃なのか

Microbiology
Are Microbial Swords Really Plowshares?

Editor's Choice

Sci. STKE, 2 January 2007 Vol. 2007, Issue 367, p. tw1
[DOI: 10.1126/stke.3672007tw1]

Elizabeth M. Adler

Science's STKE, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : 微生物による抗生物質の産生は、競争相手を死滅させるための微生物のメカニズムとして一般に解釈されている。このことが事実であれば、増殖の阻害に適さない最適未満の濃度の抗生物質でさえ、病原菌の適応性と病原性を低下させることが予想される。Linaresらは、主要な日和見病原菌である緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)を、微生物増殖を明らかに低下させるのに必要な濃度よりもわずかに低い濃度の3種類の抗生物質(トブラマイシン、テトラサイクリン、シプロフロキサシン)に曝露することによりこの仮説について検討し、これらの抗生物質の濃度が阻害濃度未満である場合には、さまざまな適応形質が実際には増強されることを突き止めた。3種類の抗生物質は、いずれも生物膜(バイオフィルム)の形成を促進した。また、トブラマイシンはスイミングとスウォーミングも促進したのに対して、テトラサイクリンはIII型分泌と関連する遺伝子の発現を上昇させ、マクロファージ細胞株に対する緑膿菌の細胞毒性を増強した。臨床上の意義はさておき、これらの研究は武器としての使用よりもむしろ、微生物群集の恒常性の制御に関与する微生物間シグナル伝達分子として抗生物質を使用できる可能性を示唆すると著者らは論じている。

J. F. Linares, I. Gustafsson, F. Baquero, J. L. Martinez, Antibiotics as intermicrobial signaling agents instead of weapons. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 103, 19484-19489 (2006). [Abstract] [Full Text]

E. M. Adler, Are Microbial Swords Really Plowshares? Sci. STKE 2007, tw1 (2007).

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