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UVBシグナル伝達:芳香族炭化水素受容体が日の目を見る

UVB Signaling The Arylhydrocarbon Receptor Sees the Light

Editor's Choice

Sci. STKE, 29 May 2007 Vol. 2007, Issue 388, p. tw182
[DOI: 10.1126/stke.3882007te182]

John F. Foley

Science’s STKE, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : 細胞を紫外線(UVB)に曝露すると、UV応答が開始される。このシグナル伝達応答には主要な経路が2つある。1つ目は核内で起こり、UV照射がDNAの光産物の生成を引き起こす。2つ目のDNA非依存性の細胞質シグナル伝達経路は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)ファミリーのメンバーを活性化する。MAPKの活性化と、その結果生じる皮膚の炎症は、皮膚癌の発生において重要である。この経路の初期シグナル伝達分子の実体は不明であるが、いくつかの手がかりは芳香族炭化水素受容体(AhR)の関与を示唆している。AhRは、多環芳香族炭化水素の有毒な作用を仲介するサイトゾル受容体である。このような化合物に結合すると、AhRはシャペロンであるHsp90(ヒートショックタンパク質90kD)およびc-srcから解離して核に移行し、そこでトクロムP450CYPとしても知られる)の転写を活性化し、有毒物質の分解において重要な酵素であるCYPタンパク質の合成をもたらす。ヒト皮膚をUVBに曝露するとCYPが合成され、ヒト細胞にin vitroで UVB照射するとCYPの発現が亢進する。Fritscheらは、AhR緑色蛍光タンパク質(GFP)融合タンパク質をコードするプラスミドをトランスフェクトしたヒトケラチノサイト細胞株(HaCaT)をUVBに曝露し、AhR-GFPの核への移行を観察した(蛍光顕微鏡法による)。リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応法により、HaCaT細胞(内在性のAhRを持つ)にUVB照射すると、UVB照射前にAhR特異的阻害剤またはAhR特異的siRNA(AhR KO)のいずれかで処理しておいた細胞と比べて、CYP1A1の転写が亢進することが示された。UVB照射は、上皮増殖因子受容体(EGFR)の細胞内移行を引き起こした。著者らは、蛍光顕微鏡法およびウエスタンブロット法を用いて、HaCaT細胞のUVB照射はEGFRの細胞内移行とMAPKのリン酸化を引き起こすが、AhR KO細胞に対しては引き起こさないことを示した。増殖因子受容体の細胞内移行は、サイトゾル内UV応答において重要な初期段階であることが示唆されている。トリプトファンを欠乏させた培地で培養した細胞において、AhRの核移行およびCYP1A1の発現は遮断された。トリプトファンは、UVBへの曝露後にAhRリガンドであるFICZ(6-formylindolo[3.2-b]carbazole)に変換されるが、著者らは、この過程がUVB処理ヒト細胞において起こることを初めて示した。CYP1A1の発現とEGFRの細胞内移行は、いずれもFICZ処理HaCaT細胞において観測できたが、AhR KO細胞では観測できなかった。FICZが仲介するEGFRの細胞内移行はc-src活性を阻害すると遮断された。最後に、著者らは、野生型マウスにUVB照射するとCYP1A1発現が誘導されるが、AhR欠失マウスでは誘導されないことから、in vivoにおけるUVBストレス応答を仲介するAhRの役割を立証した。

E. Fritsche, C. Schafer, C. Calles, T. Bernsmann, T. Bernshausen, M. Wurm, U. Hubenthal, J. E. Cline, H. Hajimiragha, P. Schroeder, L.-O. Klotz, A. Rannug, P. Furst, H. Hanenberg, J. Abel, J. Krutmann, Lightening up the UV response by identification of the arylhydrocarbon receptor as a cytoplasmic target for ultraviolet B radiation. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 104, 8851-8856 (2007). [Abstract] [Full Text]

J. F. Foley, The Arylhydrocarbon Receptor Sees the Light. Sci. STKE 2007, tw182 (2007).

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