がん:細胞死を封じる?

Cancer Silencing Cell Death?

Editor's Choice

Sci. STKE, 5 June 2007 Vol. 2007, Issue 389, p. tw192
[DOI: 10.1126/stke.3892007tw192]

Elizabeth M. Adler

Science's STKE, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : 慢性リンパ性白血病(CLL、成人白血病の最も一般的な型のひとつ)のほとんどの症例は孤発性であるが、おそらく10〜20%は家族性である(Debatin参照)。異常なDNAメチル化、およびそれによる異常な遺伝子サイレンシングがCLLの要因であることに着目し、Ravalらは、ハイスループットの定量解析を行い、DAPK1(細胞死関連プロテインキナーゼ1のCpGアイランドにおけるDNAメチル化を調べた。Fas、インターフェロン-g、TNF-aに応答するアポトーシスの促進に関与すると考えられているセリン/スレオニンキナーゼをコードするDAPK1遺伝子のDNAメチル化は、健常人の細胞よりもCLL患者の末梢血単核細胞とCD19陽性B細胞において亢進した。逆転写PCR解析により、CD19陽性CLL細胞ではBリンパ球よりもDAPK1の発現が低下しており、メチル化はDAPK1プロモーターの領域を含む遺伝子レポーターの活性を低下させることが示された。複数のCLL患者を持つ大家族のゲノムワイドな連鎖解析を、高分解能ジェノタイピングと組み合わせたところ、CLL患者のすべてに共通のDAPK1を含む9番染色体の707kbハプロタイプが同定された。ゲノム配列解析により、欧州と米国由来の383の対照組織サンプルでは認められないCLL対立遺伝子の一塩基多型(SNP)が同定された。263のCLL組織サンプルの解析では、このSNPを持つ1例の追加的なCLL症例が明らかになった。遺伝子レポーターの転写活性化により、このCLLのSNPは転写抑制因子の結合を増強することが示唆された。また、電気泳動移動度シフト解析により、このSNPはタンパク質結合も増強することが示された。スーパーシフト解析により、HOXB7がこの領域に結合することが示唆され、HOXB7 siRNAを線維芽細胞に導入すると、CLL型遺伝子では野生型対立遺伝子よりも顕著にDAPK1発現が上昇した。以上より、著者らは、遺伝的要因とエピジェネティックな要因の組み合わせがDAPK1の発現の低下をもたらし、DAPK1活性の低下はCLLに対する感受性を高めるとの結論に達した。

A. Raval, S. M. Tanner, J. C. Byrd, E. B. Angerman, J. D. Perko, S.-S. Chen, B. Hackanson, M. R. Grever, D. M. Lucas, J. J. Matkovic, T. S. Lin, T. J. Kipps, F. Murray, D. Weisenburger, W. Sanger, J. Lynch, P. Watson, M. Jansen, Y. Yoshinaga, R. Rosenquist, P. J. de Jong, P. Coggill, S. Beck, H. Lynch, A. de la Chapelle, C. Plass, Downregulation of death-associated protein kinase 1 (DAPK1) in chronic lymphocytic leukemia. Cell 129, 879-890 (2007). [PubMed]

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E. M. Adler, Silencing Cell Death? Sci. STKE 2007, tw192 (2007).

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