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ニューロンの移動:シグナル伝達エンドソームが方向性を示す

Neuronal Migration Signaling Endosomes Point the Way

Editor's Choice

Sci. STKE, 10 July 2007 Vol. 2007, Issue 394, p. tw240
[DOI: 10.1126/stke.3942007tw240]

Nancy R. Gough

Science's STKE, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : 脳由来神経栄養因子(BDNF)は、外顆粒層から内顆粒層への小脳顆粒細胞前駆体(GCP)の遊走を促進する。BDNFノックアウトマウスでは、GCPの移動が損なわれる。Zhouらは、生後6日目(P6)のマウスからGCPを単離し、均一または勾配をもたせて加えたBDNFに応じた培養液中の遊走を測定した。BDNFは、勾配をもたせて添加した場合のみ、GCPの方向的走化性を促進した。外から加えたBDNFはbdnf-/-マウス由来のGCPの移動を促進したが、これらの細胞はBDNFの勾配に応じてさえも方向性のある移動をできなかった。このことから、BDNFの自己分泌機能は正しい走化性にとっても重要であることが示唆される。自己分泌性のBDNFが方向をもった移動にどのように寄与するのかを理解するために、BDNFに類似するニューロトロフィンのNT4(NT4もTrkB受容体を活性化する)を用いて培養GCPを刺激したところ、BDNFが分泌されることがわかった。その結果BDNFの勾配は増幅されて、方向をもった移動が引き起こされた。GCPは、BDNFに対する2つの受容体(TrkBとp75NTR)を持つ。BDNF誘導性の走化性(培養細胞および器官型スライスにおける)は、TrkB受容体の活性を阻害すると阻止されたが、p75NTRシグナル伝達を欠損する細胞では影響を受けなかった。培養GCPにおいて、TrkB受容体はBDNF濃度が高い方の先導端で初期エンドソームマーカーと共局在した。このことは受容体の内部移行を示唆する。P6マウスの小脳では、TrkBはしばしばエンドソームマーカーと共局在する斑点状構造に存在するが、野生型マウス脳においてのみ、TrkBは一貫して内顆粒層の方を向いていた。エンドサイトーシスを薬理学的に阻害すると、BDNF勾配に向かう培養GCPの移動が阻害され、クラスリン依存性エンドサイトーシスに必要なダイナミンの機能を障害すると、器官型スライスにおける外顆粒層からのGCPの移動が阻止された。BDNF誘導性のGCPの移動には、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)シグナル伝達とRac特異的グアニンヌクレオチド交換因子Tiam1の活性化が関与していた(薬理学的阻害とsiRNAノックダウン実験に基づく)。以上より、BDNFが誘導する移動には、方向性をもったシグナル伝達エンドソームの形成と内因性のBDNF生成の両方が関与するようであり、このBDNFがBDNF勾配を増幅して運動性を亢進させるのかもしれない(Kaplan&Millerの解説参照)。

P. Zhou, M. Porcionatto, M. Pilapil, Y. Chen, Y. Choi, K. F. Tolias, J. B. Bikoff, E. J. Hong, M. E. Greenberg, R. A. Segal, Polarized signaling endosomes coordinate BDNF-induced chemotaxis of cerebellar precursors. Neuron 55, 53-68 (2007). [PubMed]
D. R. Kaplan, F. D. Miller, Developing with BDNF: A moving experience. Neuron 55, 1-2 (2007). [PubMed]

N. R. Gough, Signaling Endosomes Point the Way. Sci. STKE 2007, tw240 (2007).

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