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腫瘍形成 
発がん性Rasにより誘導されるインターロイキン-6は腫瘍成長を促進する

Tumorigenesis Oncogenic Ras-Induced Interleukin-6 Promotes Tumor Growth

Editor's Choice

Sci. STKE, 24 July 2007 Vol. 2007, Issue 396, p. tw258
[DOI: 10.1126/stke.3962007tw258]

John F. Foley

Science’s STKE, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : Rasは、膜結合型の低分子量グアノシントリホスファターゼ(GTPase)であり、受容体チロシンキナーゼからマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)ファミリーのメンバーへのシグナルを仲介する。恒常的な活性化を示すRasの変異は発がん性であり、未制御の細胞増殖と腫瘍成長をもたらす。多くの腫瘍は、Rasのこのような変異体(RasG12Vなど)またはRasの上流アクチベーターまたは下流エフェクターのいずれかの変異と関連性がある。ところが、Rasが極めて有効な薬理学的標的であることはまだ実証されていないので、AncrileらはRas誘導性腫瘍と関連する分泌因子に着目した。このような因子のひとつにサイトカインのインターロイキン-6(IL-6)がある。IL-6は、炎症誘発性および抗炎症性の両方の性質を有し、その含有量は発がん性Ras変異と関連する膵がんの患者の血清において増大する。著者らは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を用いて、4-ヒドロキシタモキシフェン(4-OHT)誘導性のRasG12Vを発現する形質転換ヒト腎細胞株からのIL-6分泌を測定した。4-OHT処理培養液におけるIL-6タンパク質の含有量は、非誘導性培養液よりもはるかに高く、これらの結果は半定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法により、IL-6遺伝子の転写レベルで確認された。RasG12V発現細胞をマウス側腹部の皮膚下に導入すると腫瘍が発生した。一方、IL-6に特異的な短鎖ヘアピンRNA(shRNA)で処理した細胞から発生した腫瘍は、対照shRNA処理細胞から発生した腫瘍よりもずっと小さかった。発がん物質の7,12-ジメチルベンズアントラセン(DMBA)の局所投与後に12-O-テトラデカノイルホルボール-13-酢酸(TPA)を投与すると、発がん性Ras変異が高頻度で出現する乳頭腫が発生する。著者らは、野生型およびIL-6-/-マウスのDMBAおよびTPA処理を行い、IL-6-/-マウスでは、処理した野生型マウスよりも腫瘍の数およびサイズが小さく、腫瘍の発生時期も遅いことを突き止めた。フローサイトメトリーにより、RasG12Vにより誘導される腫瘍細胞はIL-6受容体を発現せず、このような細胞が増殖するためにはIL-6を必要としないことが示された。ところが、免疫組織学的解析により、IL-6特異的shRNA処理を行なったRasG12V発現細胞から発生した腫瘍は、対照shRNAで処理したRasG12V発現細胞から発生した腫瘍よりも内皮細胞の数がはるかに少ないことが示され、腫瘍成長をもたらす血管新生の促進におけるRasG12V誘導性IL-6の役割が示唆される。最後に、同じin vivo腫瘍モデルを用いて、著者らはIL-6に対する中和抗体でマウスを処理すると、対照抗体処理マウスよりも小さい腫瘍が観察される(成長速度も遅い)ことを示した。これらのデータにより、IL-6のRas関連がんへの標的化は治療上の利益があるかもしれないことが示される。

B. Ancrile, K.-H. Lim, C. M. Counter, Oncogenic Ras-induced secretion of IL6 is required for tumorigenesis. Genes Dev. 21, 1714-1719 (2007). [Abstract] [Full Text]

J. F. Foley, Oncogenic Ras-Induced Interleukin-6 Promotes Tumor Growth. Sci. STKE 2007, tw258 (2007).

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