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免疫学
アレスチンの免疫応答

Immunology An Arrestin Immune Response

Editor's Choice

Sci. STKE, 31 July 2007 Vol. 2007, Issue 397, p. tw268
[DOI: 10.1126/stke.3972007tw268]

Elizabeth M. Adler

Science's STKE, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : われわれの生存は、免疫系による病原体の除去に依存している。しかし免疫系は、抑制されていなければ自己破壊的になる可能性があり、適応免疫応答の調節異常(たとえば、病原体が排除された後にエフェクターT細胞が除去されない場合など)は、自己免疫疾患の発症につながる(FrederickとMiller参照)。Shiらは、β-アレスチン-1(Gタンパク質共役型受容体のシグナル伝達における細胞質での役割から同定されたが、その後、核内でも作用することが発見された足場タンパク質)をコードするArrb1が欠損したマウスは、野生型マウスと比べて、末梢血CD4陽性T細胞が少ないことを見出した。Arrb1-/-マウスに由来するナイーブあるいは活性化CD4陽性T細胞は、野生型マウスに由来する同種の細胞と比べてアポトーシスを受けやすく、一方でArrb1-トランスジェニックマウス(Arrb1tgマウス)に由来する活性化CD4陽性T細胞はアポトーシスを受けにくかった。免疫負荷から数日後に、Arrb1-/-マウスでは、応答するCD4陽性T細胞の数が野生型マウスよりも少なく、一方Arrb1tgマウスでは数が多かった。Arrb1をノックダウンすると、抗アポトーシスタンパク質Bcl-2をコードする遺伝子の転写が低下した。CD4陽性T細胞の活性化後、Bcl-2の発現はArrb1の発現と同じ道をたどったが、Arrb1-/-細胞では、Bcl-2の発現にそのような動的変化はみられなかった。さらに解析を行った結果、β-アレスチン-1は、Bcl-2のプロモーター領域でのヒストンH4のアセチル化を介してBcl-2の発現を促進することが示唆された。興味深いことに、Arrb1-/-マウスは野生型マウスと比べて実験的自己免疫性脳脊髄炎を起こしにくいのに対し、Arrb1tgマウスはこれを起こしやすく、多発性硬化症患者に由来するCD4陽性T細胞では、ARRB1BCL2の発現亢進が認められた。さらに、ミエリン塩基性タンパク質に特異的なCD4陽性T細胞においてβ-アレスチン-1をノックダウンすると、Bcl-2は減少し、アポトーシス感受性は増加した。したがって著者らは、β-アレスチン-1はBcl-2の発現を調節することによってCD4陽性T細胞の恒常性に重要な役割を果たすと結論付けている。

Y. Shi, Y. Feng, J. Kang, C. Liu, Z. Li, D. Li, W. Cao, J. Qiu, Z. Guo, E. Bi, L. Zang, C. Lu, J. Z. Zhang, G. Pei, Critical regulation of CD4+ T cell survival and autoimmunity by β-arrestin 1. Nat. Immunol. 8, 817-824 (2007). [PubMed]
T. J. Frederick, S. D. Miller, Arresting autoimmunity by blocking β-arrestin 1. Nat. Immunol. 8, 791-792 (2007). [PubMed]

E. M. Adler, An Arrestin Immune Response. Sci. STKE 2007, tw268 (2007).

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