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睡眠
ほつれた糸を縫い直す

Sleep
Knitting a Ravelled Sleave

Editor's Choice

Sci. STKE, 4 September 2007Vol. 2007, Issue 402, p. tw316
[DOI: 10.1126/stke.4022007tw316]

Elizabeth M. Adler

Science's STKE, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : 睡眠は人間が一生の約3分の1を費やす活動であるが、その大部分は不可解である。Foltenyiらは、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)において、睡眠を調節する上皮増殖因子受容体(EGFR)シグナル伝達の役割を調べた。SpitzのようなハエEGFRリガンドの活性化は、膜貫通タンパク質Starやロンボイドファミリー(Rho)プロテアーゼに依存する。RhoとStarの発現をコンディショナルに誘発できるハエを用いて、著者らは、これらの過剰発現が睡眠の用量依存的増加をもたらすことを示した。睡眠エピソードの持続時間と回数はともに一過性に増加したが、その後減少して正常に戻った。Rhoによるプロセシングを必要としない可溶性Spitzの過剰発現も、同様の効果を示した。RhoとStarの過剰発現は、睡眠増加の時間的パターンに相関して起こる頭部における細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK、EGFRシグナル伝達の標的)のリン酸化の増大をもたらした。この増大は、EGFRのドミナントネガティブ変異体の同時発現により阻害された。免疫組織化学的解析により、ERKのリン酸化の増大は後大脳において最大であることが示された。さらに、複数の系統のハエにおいて、脳間部(PI、脊椎動物の視床下部に相当する領域)から後大脳へと投射するニューロンにおけるRho活性をRNAiで阻害したところ、睡眠が減少した。この減少は、短期間の睡眠エピソードとともに、睡眠を試みた回数の増加と関連したが、このパターンはハエ不眠モデルを構成できるものであった。著者らは、PIニューロンによるEGFRリガンドの産生は、後大脳ニューロンにおけるERK活性化をもたらし、それにより睡眠を促進するのではないかと提案している。Colwellは思慮深いコメントを提供している。

K. Foltenyi, R. J. Greenspan, J. W. Newport, Activation of EGFR and ERK by rhomboid signaling regulates the consolidation and maintenance of sleep in Drosophila. Nat. Neurosci. 10, 1160-1167 (2007). [PubMed]
C. S. Colwell, Soporific signaling: How flies sleep through the night. Nat. Neurosci. 10, 1079-1080 (2007). [PubMed]

E. M. Adler, Knitting a Ravelled Sleave. Sci. STKE 2007, tw316 (2007).

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