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遺伝子のサイレンシング
Ras対Fas

Gene Silencing Ras Versus Fas

Editor's Choice

Sci. STKE, 30 October 2007 Vol. 2007, Issue 410, p. tw390
[DOI: 10.1126/stke.4102007tw390]

John F. Foley

Science’s STKE, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : Rasがん遺伝子が活性化されているがん細胞では、Fasのエピジェネティックなサイレンシングが起こり、Fasリガンドが仲介するアポトーシスの阻害が起こることがある。Fasの不活化は、通常はプロモーターでの過剰メチル化に起因するが、このサイレンシングがどのようにして誘導されるのかは分かっていない。Gazinらは、細胞表面にFasを発現しないK-ras形質転換NIH 3T3細胞へ低分子ヘアピン型RNA(shRNA)を含むレトロウイルスのライブラリーを導入し、Fasの細胞表面での発現を回復した細胞を免疫磁気ビーズを使用して分離した。細胞表面でFasの発現を促進したshRNAを配列決定することにより、シグナル伝達分子や遺伝子発現の調節因子、これまでにRasとの関連が示されていなかったタンパク質をコードする28の標的遺伝子を同定した。リアルタイム逆転写PCRアッセイで測定したところ、K-ras形質転換NIH 3T3細胞におけるこれらの遺伝子の存在量は、通常のNIH 3T3細胞よりも多かった。メチル化DNA免疫沈降アッセイでは、FasプロモーターはK-ras形質転換NIH 3T3細胞において高度にメチル化されていたが、それぞれ同定された遺伝子のいずれか1個を標的とする単一のshRNAを発現する28の細胞株のいずれにおいても高度なメチル化状態ではなかった。クロマチン免疫沈降アッセイにより、K-ras形質転換NIH-3T3細胞において、DNAメチルトランスフェラーゼDNMT1はFasプロモーターに結合するが、28のshRNA含有細胞株のすべてにおいてこの結合が低下することが確認された。スクリーニングで同定された28個の遺伝子のうち、少なくとも21個の遺伝子は、Ras形質転換細胞においてサイレンシングされることが知られている他の5個の遺伝子の過剰メチル化にも必要であった。shRNAを含有するK-ras形質転換NIH 3T3細胞株のうち、9個の細胞株のいずれかを注入したことに起因するマウスの腫瘍は、K-ras形質転換NIH 3T3細胞を注入したマウスの腫瘍よりも小さかった。以上の結果は、発がん性Rasが多数のエフェクターを介してFas(ならびに他の遺伝子)のエピジェネティックなサイレンシングを実際に誘導することを示唆するものであり、新しい治療法の標的となる可能性がある。

C. Gazin, N. Wajapeyee, S. Gobeil, C.-M. Virbasius, M. R. Green, An elaborate pathway required for Ras-mediated epigenetic silencing. Nature 449, 1073-1077 (2007). [PubMed]

J. F. Foley, Ras Versus Fas. Sci. STKE 2007, tw390 (2007).

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