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細胞接着 伸展から退縮への移行

Cell Adhesion Shifting from Spreading to Retraction

Editor's Choice

Sci. STKE, 13 November 2007 Vol. 2007, Issue 412, p. tw409
[DOI: 10.1126/stke.4122007tw409]

Elizabeth M. Adler

Science's STKE, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : インテグリンシグナル伝達は、細胞伸展(低分子GTP結合タンパク質Racとcdc42を介する)と細胞退縮(RhoAを介する)の両方に関連がある。しかし、インテグリンがこれらの対立する過程を時間的に調節するメカニズム(細胞遊走や創傷治癒において調整される必要がある)は不明である。Flevarisらは、インテグリンβ3の細胞質ドメインのカルパイン切断がチロシンY759のリン酸化により阻害されることに着目し、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において、リン酸化模倣インテグリンβ3変異体を野生型インテグリンαIIbサブユニットとともに発現させ、インテグリンシグナル伝達におけるカルパイン切断の役割について検討した。著者らは、フィブリノゲンに接着するCHO細胞において発現させると、このR760E変異体が実際にカルパイン切断に対して抵抗性を示すことを実証した後、細胞を介する血餅の退縮はR760E変異体細胞において阻害されるのに対して、フィブリノゲン上の細胞伸展は増強されることを示した。反対に、カルパインによる切断を模倣する欠失変異体は、細胞伸展の欠損を示した。RhoAは切断されたインテグリンβ3を持つ細胞において活性化され、欠失変異体における伸展欠損は、RhoAおよびRho依存性キナーゼ(ROCK)が介する収縮の活性化に依存することが薬理学的解析により示された。薬理学的解析とドミナントネガティブなc-Src変異体の検討を組み合わせることにより、インテグリンβ3依存性c-Srcシグナル伝達はRhoAの活性化を阻害することにより細胞伸展を促進し、インテグリンβ3の切断はc-Srcとの結合を破壊することでRhoAの阻害を緩和して退縮を促進することが明らかになった。以上より、リン酸化により調節されるインテグリンβ3の細胞質ドメインのカルパインによる切断は、伸展ではなく退縮を促進するようにインテグリンβ3シグナルを切り替えるのではないかと著者らは提案している。

P. Flevaris, A. Stojanovic, H. Gong, A. Chishti, E. Welch, X. Du, A molecular switch that controls cell spreading and retraction. J. Cell Biol. 179, 553-565 (2007). [Abstract] [Full Text]

E. M. Adler, Shifting from Spreading to Retraction. Sci. STKE 2007, tw409 (2007).

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